ブルマを「パンツ」と称して釣る投稿者絶対許さないマン

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

オレには、許せない悪がある

「オレには許せない悪があるんだ!」



 写真部の部長が、ブチギレながらオレに語りかけてきた。

 無意味に立ち上がっている。




「ブルマを「パンツ」と称して、お宝画像サイトに乗せるクズヤロウだ!」


 あー。わかる。


 ブルマとかアンスコなのに、「パンチラ」とかいって投稿するやつか。


 たしかに解せんわ。


 オカズ探しているときにそんなん発見したら、それはそれでムカつくわ。


 抜くけどな。

 


「許せねえ! もしネットが発達して個人情報が確認できるようになったら、絶対にそいつらから撲滅してやる!」

 


「でも、ブルマ自体に罪はありませんよね」


「もっともだ! 好き! だからこそ、許せねえ!」


 オレも好き。

 

 平成の頃に廃れ、令和の時代になったとしてさえ、なお世の男性を魅了する魅惑の体操着。それがブルマだ。

 


「とはいっても、それはそれで麗しくありません?」


「たとえば?」


「ほら、ブルマを履いてくれているんだから、背徳感は薄れません?」


 風のいたずらや、油断したJKがしゃがみこんでうっかり見てしまったとしても、すぐに目をそらせる。

 印象にも残らない。


「たしかにな。しかしだ……オレは余計にガン見してしまうんだ。罪悪感が薄れてしまうがゆえに、目で追ってしまう」


「あかんやん」


 バッチリ釣られてるやん。初志貫徹できてないやん。


「パイセンって、ブルマ好きのヘンタイだったんですね?」

 

「いやいや、ブルマに目を奪われるのは、行動学的に自然ではないか?」


 全然、自然じゃねえよ。


「む、向こうが油断して足を何度も組み替えるのが悪いんだ!」



「人のせいにすんな」


「じゃ、じゃあ」

 

「オレのは見るのか!? えええッ!?」


 なんとパイセンが、自分のミニスカートをまくりあげた。


 パイセンは、オレのひとつ上の女子生徒である。


 そこそこ美人なのが困るんだよな。


「どうだ! ほれほれ、オカズになるだろ? ガマンできんだろ? え? これでも、目をそらせないといえるか?」


「待ってください、パイセン」


「いいや、待たないね! 見よ。お前はこのパイセンの痴情を思い出しながら夜を明かすのだ!」

 



「いや、違うんです。パイセン。はいてないですよ」



「なにをだ?」

 


「ブルマ」



「おおおおおおおおおおっ!?」

 


 ナイアガラの滝のような素早さで、パイセンはスカートを直す。



「おおお前、見たか? オレのを」


「すいません」


 小さい声で、ボクは謝罪した。


「忘れろ」


「ムリです」


「うううううう」

 

 


 その日の晩、ボクは涙目になったパイセンを思い出しながら夜を明かした。


 三回。

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