第29話【体調の変化】
そうこうしているうちにあっという間に半年が経った。
「ありがとうございました!」
人間関係も良好で仲間にも恵まれていたし、仕事も楽しかった。
それに旅をしながら住むところも収入もあるのは最高だ。
「困ったらこの仕事をしよう!」そう思った。
それからは再び無職になった。
ギャンブルで稼いでいけば借金を一気に返せると思ったからだ。
あのとき感じた興奮と自分の予想が当たったという自信に満ち溢れていた。
だが、そんなに甘い世界があるわけなかった。
毎日負けた。だけど時に大きく勝つ。それに味を占めてまたやる。
それの繰り返しで結局マイナスで終わる。
それからボートレースだけでなく全ての公営ギャンブルを勉強した。
でも勝てなかった。どう頑張っても勝てなかった。頑張る方向が間違っていたからだろう。それにすら当時の僕は気が付かなかった。
表があれば裏がある。それと同じように負けている人が居れば勝っている人が居る。
勝てる人と負ける人の違いなんか分かるはずもなかった。
ただやみくもに賭けて、遊びの範疇をこえた自分が悪かった。
たった2か月で底をついた資金。
もう一度登録していたバイト先に連絡をして新しい仕事を紹介してもらった。
また観光地へ行った。
それからは2か月や3か月の短い期間で働いて全国を転々とした。
そこで分かったのは全国どこに行ってもギャンブル好きはいることだ。
行った先々の仲間とギャンブルをして一攫千金を夢見る。が、1年、2年経ってもプラスになった事がなっかった。
「これは完全に向いてないや。」とやっと気が付いた。
あと数人の知り合いにお金を借りているのに返済が止まってしまった。
働いても働いても1円も残らなかった。
今までギャンブルをしてきたお金を返していたらとっくに返済出来ていただろう。
でも、なぜか返済が滞っても「返せ!」と言ってくる人は1人も居なかった。
借りた人に恵まれたとしか言えない。だが、同時に連絡するのが怖くなり一切の疎遠になってしまった。
『申し訳な申し訳ない申し訳ない。なんてことをしたんだ。』そう思うばかりだった。
それからというもの、今まではシフトも詰めて1か月200時間から250時間くらい働けていた体も次第に働く時間が短くなり、月に100時間から150時間ほどにまで減った。
それは急に体の不調を感じる様になったのだ。
20代前半ははカラオケでオールからの仕事なんかへっちゃらだった。
でも25歳の時分でもうできなくなっていた。
あとこの頃からチャーハンが食べられなくなった。
大好きなチャーハンを食べると油っぽい感じで吐き気を催すようになった。
でも唐揚げや、とんかつは今でも食べられる。これはどういう事なんだろう。
もう働く気力がどんどんなくなってきていた。
消費者金融からもつまんでいたが、その借金からも逃げていた。
25歳。今から就職して安い給料からスタートして借金を返し終わる頃には僕は何歳になているんだ。
そんな事を毎日考えていた。
―自分のせいなのに、誰かのせいにしたくなる。
―自分が悪いのに過去のせいにしたくなる。
これから先どうやって生きていこうか。。。。
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