第27話【さらば黄昏れ】
真知子さんの家に来て2か月が経っていた。
僕は早くここを出ないといけない。とずっと思っていた。
真知子さんと2人ならまだ世話になっていたかもしれないが、高校生の娘さんと一緒に生活するのは向こうが嫌だろうと思っていたからだ。
『何とかしないと。何とかしないと。』
僕は考えた。とにかくWi-Fiをひろえるところを探そう!
散歩中に近くを自転車で通りかかった学生がいたので声をかけた。
Wi-Fiスポットがないか聞いたところ、歩いて30分ほどのコンビニにWi-Fiがあることが分かった。
僕はそこまで行きWi-Fiを繋いだ。
そこで【住み込み バイト】で検索した。
するとたくさんの会社が出てきた。
そのうちの1社をメモして、帰ってから家の電話を借りた。
「あ、ネットからそちらの求人を拝見させていただいたのですが・・・」
「ありがとうございます!ではまずは、ご登録をさせて頂きたいのですがお名前を頂戴できますでしょうか?」
それから、実家の住所と携帯の番号を言った。
「あの、すみません。ちょっと相談があるのですが。」
「はい?どうされましたか?」
「携帯を解約されていまして、今の知り合いの家を出ると連絡取れないんですよ」
「なるほどですね。かしこまりました。少々お待ちください。」
それから3分くらいして、「お電話変わりました。連絡を取るのが難しいということですね?」
「はい。こんな僕でも働けますでしょうか?」
それから2.30分事情を話した。
「分かりました。僕のプライベートのラインを教えます。で、こちらに着いたらWi-Fiをひろってラインで電話を必ずください。これだけは約束してください。」
「分かりました!!必ず連絡します!」
こうして住み込みの仕事が決まった。
帰ってきた真知子さんに話した。
「ん。分かった!がんばってきな!気を使わせてごめんね。」
「いえ、どうして真知子さんが謝るんですか。」
「これ、餞別だよ。」
そう言って、3万円を僕の手の中に入れた。
「ありがとうございます。この御恩必ず返します。」
こうして8日後に真知子さんの家を出た。
働く場所は真知子さんの家から500キロ離れた有名な観光地だった。
そこでバイキングスタッフとして働いた。
バイキングスタッフとはホテルでの食事の料理の補充をしたり、調理補助をしたりする仕事だ。
朝は5時に寮を出て、お客様の朝ご飯を準備する。
それから朝の片づけをして夜ごはんの準備をして中抜けだ。
中抜けは11時くらいから16時くらいだったと思う。
それから16時から22時ごろまで仕事をする。
1日がとても長い。仕事の日はクタクタだ。契約は半年だ。
だが、ここへきてさらに自分で自分の人生を大きく狂わすことになるとは思ってもいなかった。
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