第18話【期待と裏切り】
そして、オフィスを見に行く約束の日。
「おはよー!」とご機嫌な酒井。
「おはよう」
「大沢さんは先に行ってるみたいだから、合流するか!」
「おう」
そして現地で合流した。
「おはようございます大沢さん。」
こうして大沢さんの知り合いが用意してくれたオフィスを見て回った。
数件回った時、まさに僕が妄想していた理想のオフィスが見つかった。
「僕ここが良いと思うんですけど!好アクセスで値段も安い、さらにはこの景色。最高だと思うんですけどダメですか?」
「俺もここが今までで1番良いかもな!」
「んじゃここにしますか!」
こうして、満場一致で決まったオフィスは思い描いていた通りの場所だった。
契約等は大沢さんがやってくれるとのことで、僕らはその場を後にした。
それから数日後、改めて大沢さんにメールを入れた。
「お疲れ様です。契約上手くいけましたか?あと、次の集まりの日にちをご連絡頂けると助かります。よろしくお願いいたします。」
同じ様な内容の文章を酒井にも送った。
「契約できたかな?大沢さんに次いつ集まるか聞いといて。」
【それから数日待っても2人から連絡が来ることは今日に至るまで1度もなかった】
つまり大沢さんと、酒井にお金を持ち逃げされたのだ。
【これが、僕の人生の歯車が狂った時だった。】
もちろん取り返そうと動いた。
まず、携帯に電話したが大沢さんも酒井も解約していた。
そして、酒井の家にも行った。昔に1度行った事があったから場所は分かる。
しかし既に別の人が住んでいた。
大沢さんに関しては全くの情報を持ってなっかった。
酒井の事を信用していたのもあるが、そもそも持ち逃げの発想がなかった。
そのため、細かい個人情報は聞いてなかった。
不動産会社もどこの会社か分からなかった。
これが今思えば1番のミス。
それに、今考えてもあの時のあれが怪しいなとかは一切ない。
完全に酒井と計画していたとしか考えられなかった。
僕は裏切られた絶望と、借金だけが残った。
借金は知り合いから借りた分だけじゃない。
高校も奨学金、大学も奨学金だった。
20歳の僕はこの時点で、約500万円の借金を背負った。
500万の借金は大学を卒業まで行けばそれくらいになるからそれは良いとして、友達に借りていて返済できない状況になってしまったのが1番精神的にダメージをくらった。
この日を境に、僕は笑わなくなった。
そして常に最悪の結果を想定して生活を始めた。
どんなことも、どんな人もすべて【疑い】から入るようになった。
少しの事で幸せと感じとれなくなったり、面白いと思わなくなってしまった。
幸せの沸点が上がってしまった。精神的に最悪のことだ。
「さあ、これからどうするか。」
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