第31話 え? チュートリアル終了!?

「くそっ! なんでこんなと所にフレイムドラゴンが!? こいつは7階層のボスクラスモンスターだろう!? キール! お前も下がれ! このままじゃ、やられちまう!」

「だ、だが! こいつを放っておけば、ここに来た連中全員に危険が及ぶ!」

「くっ…アリス! まだ回復は出来そうか?」

「うん、まだいける!」

「ユリア! マナポーションをありったけくれてやる。 ぶっぱなせ!」

「解ったわ。 グレンも気を付けて!」

「おし! いくぞおらぁぁ!!」


目の前では、赤い巨大な竜と戦闘を繰り広げる一つのパーティがあった。

真っ赤な髪の男は二双の槍を装備し、どことなく見覚えがある様な気もするが…解らん。

そして、青い髪の男は大きな盾を装備しドラゴンの気を引いていた。


『絶賛戦闘中みたいっすね。 見たところ、やばそうですから援護しましょう』

「解った! おい、あんた達!! 切羽詰まってるんだろう!? 微力ながら援護する!!」

「って、えぇ!? 君は噂のルーキー君!?」


すると隣の杖を持った紫髪の女性がそう呟いた。


『ドラゴンは肉質が固いです。 だから、狙うはあいつの頭部ですかね。 そこが柔らかそうです』

「わかった。 ぶちかます!」


ズガン! ズガン! ズガン!!


「「なんだ!?」」


後方からの爆音に思わず振り返る男達―――


『グォォォォォ!!!』

『ヒット! 確実に効いてる見たい―――あ、やばいかも…』

『グォォォ…』

「気を付けろ! ユリア! ブレスだ!」

「―――え?」


ドラゴンの口元から炎が漏れ始め、奴の視線は一番後方の俺の隣の女性へと向けられていた。


「まさかあいつ…仕方ない!!」

「ユリア!!」


俺は女性の前に立つとシールドを構えた。


ブォォォォ!!!


「きゃぁぁぁ!!」


激しい炎が俺達二人を襲う。

とんでもない火力だ、そのせいか徐々に炎は後ろへ広がらずに徐々に徐々に女性の方へ集まる。


「や、やべぇ…俺はどうにかなっても後ろの女性が!」


と、その時―-―


『ピコーン!? お姉さまの復活及び!! チュートリアルの条件達成を確認!! ブイちゃん! 合体しまーす!』

「へ? 合体?」

『システム、オールグリーン。 おはようございます。 胸部のハッチを開放―――ブイの格納を確認。 チュートリアルモード解除―――これより、全システムの解放を行います。 シールド展開。 冷却装置作動――――』


ガシュン! シュ――――――――――――!!!


「さ、寒い!?」


シールドが上下に解放すると、そこからは冷気が漏れ出してくる。


「た、助かったの!?」

「まじかよ…あのブレスを防ぎきりやがった!?」

「何よあれ…まるでロボットじゃない」


ドラゴンは愚か、目の前の冒険者達―――更には俺までもが


「な、なんじゃこれ!?」

『ちっちっちっ。 これだけじゃないぜぇ~? 脚部フレームパージ!』

『脚部フレームパージ。 脚部ローラーの展開を開始―――』


ガチャン!! キュキュキュキュ!!!


『動作良好―――』


俺は音のした方向を見る、いつのまにかアーマーの脚部はひと回り程細くなると同時にかかと部分には見慣れないローラーがくっ付いていた。


『ローラーダッシュ…いつでもいけるぜい。 装着者ファクター様―――』

「え? ど、どうやって動かせば」

『―――既に脚部へのエネルギー供給をローラーのモーターへ切り替えています。 走るイメージで問題ありません』

「は、走るイメ――なぁぁぁぁぁぁ!?」


キュイー――ン!!

凄まじいスピードで地面を滑走する俺と――――


「「うぉぉぉぉ!! かっけぇ!!!」」


目の前で興奮する男の冒険者が二人。


『姿勢制御はこっちでやってるので安心してくれいっ! 装着者ファクター様!

『こちらは相手の弱点を探ります――――装着者ファクター様は攻撃の続行を―――』

「なにがなんだか解らんが! あいつの気を引けばいいんだな!? おい、こっちはあいつの気を引く。 そのうちに攻撃を任せたい! いいか!?」

「あぁ、任せろ! 奴は頭部を攻撃されることを嫌がる用だ。 そのとんでも銃でぶちかましてやってくれ! ユリア! 俺とキールに氷属性のエンチャントをたのむ! アリスは聖属性の魔法で奴を拘束してくれ! いくぞ!!」

「「「おぅ!」」」


ズガガガ!!!


俺はドラゴンの背後へ回り後頭部を銃弾で攻撃する。

ダメージは入っているようだが…それでも決定打とはならない。


『グォォォォォ!!』

『九時の方向―――』

「ぐっ、間に合わ―――」


それと同時に左側からは奴の尻尾が俺に襲いかかる。


『まかせい!!』


ガンッ!!


『ダメージ3%。 防御成功―――よくやりましたブイ』

『えっへん!』

「なっ!?」


俺が反応するよりも先に、左腕が上がると即座に相手の尻尾攻撃を防いだ。


「って!? 腕が勝手に!?」

『ふっふっふっふっ…細かな制御が出来るようになったおかげですね!』


とは言え、まだまだ相手はそれ程外傷がない様にも思える。

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