第19話 家族に怒られる

「お兄ちゃん?」

「はい…なんでございましょうか」

「私、前日に2階層へ行くのは止めてある程度したら帰って来てね? って2回位言ったよね?」


帰宅した俺は現在リビングにて正座させられた状態で妹の優香に叱られていた。


「そ、そんな事も言っていた気が…」

「お兄ちゃん!!」

「は、はい…」

「まぁ、今回は色々初めてだっただろうから? おおめに見てあげる! けど、次はこれよ!!!」


そして俺の顔に叩きつけられた一枚の紙に目を通す。


―――――――――――――――


ゴブリン×35 状態良好

ゴブリンメイジ×25 状態良好

(レア種)ゴブリンオークメイジ×2 状態良好

(レア種)ゴブリンオークキング×1 状態良好


―――――――――――――――――


というリストをつきつけられた。


「レ、レア…」

「なんで二階層のそれも6万分の1%位のレア種を狩って来てるの!? ゴブリンオークはねぇ!? 滅多にお目にかかれないレアモンスターで、すっっっっごく! 高く売れるんだから!!」

「それならよ―――」

「よくない!! けれどね? すっっっごく強いの!! それを何、平気な顔で倒してきちゃってんの!! 二階層にはいくなって!! 言ったよね!?」

「………はい。」


怒り心頭中の妹はもう顔がトマトの様に真っ赤である、いつ以来だろうか…こんなに面と向かって妹に怒られる事なんて。


「でも、おかえり! お兄ちゃん!」

「すまん…た、ただいま」



――――――――――――――――――――――――――


「だ~から言っただろう!? こいつは二階層に絶対行くって!!」

「けれど、それは私達ももう少し詳しく話していれば!」

「そ、そうだが…しかし!! 俺も納得できない! ゴブリンオークキングだぞ!? Fランク冒険者が一人で討伐出来る様なモンスターじゃない! 俺達もそういった点を考慮して話しておくべきだった。そうだろ?」

「そ…そうね。 私達の認識が甘かったのは確かね…」


目の前で喧嘩を始めた親父と母さん。


「アレ、お兄ちゃんのせいだからね? 反省しなさいよ?」

「はい…次から気を付けます」



その後、こっぴどく三人に叱られた俺は家族皆で夕食を取る事にした。


「にしても、まさかゴブリンオークに出会うなんって。 お兄ちゃんはもってるね」

「あぁそうだな。 ゴブリンオークキングなんて滅多に拝めない代物だぞ? まぁ、強さは5階層以上のボスモンスターに匹敵するんだがな」

「そうねぇ~! あれだけ状態も良ければ高値で取引できそうだわ!」

「いや…二人とも。 そんな事よりも、アレを市場に卸した時の事は考えてるの?」

「「あ……」」


レアモンスターは妹の話によればかなりの高値で取引されており、通常は大手ギルドやクラン等と個人的な取引を行って売りさばく事が多いらしいが。

今回の様な場合は別だ…狙って狩に行ける様なレベルじゃないレアモンスターの値段。


特に俺の狩った”ゴブリンオーク種”という名のモンスターはかなりの値段で取引される。 なんでもアレの素材は魔法使いにとって凄まじい恩恵があるそうだ…


「仕方ないか。 皆…明日は全員でレッドスコーピオンに行くよ…」

「そ、それって…もしかして優香?」

「なるほど。 ”アレ”を取引材料にするつもりか?」

「うん。 今後、こういうことがあると後から色々と鬱陶しいでしょう? だから早めに手を打っておかないと」

「「そうね(だな」」


両親達は納得した様子で首を縦に振った。


「そこ!! 関係ない素振りしない!!」

「―――え? 俺?」

「全員。 解る? 全員でいくんだからね?」

「は、はい…」


翌日の事であった、ぐっすり休んだ俺は昼頃妹に布団を剝がされ―――気付けば親の運転する車である施設の前にやってきていた。

冒険者ギルド”レッドスコーピオン”建物の大きさからしても、既に試験場以上のものだと言っても過言ではない大きさに俺は口をパクパクさせるだけであった。


「で? 何故、わざわざこの格好で?」


俺は開発を進め新たなる力”アイアン(ノーマル)”で、自前のアイテムBOXを背負ったまま施設の前にやって来ていた。

カラーリングはアイアン試験型から一変、緑色の装甲部分が増え…以前の白いモノアイから赤い発光の物に変化を遂げていた。


―――――――――――――――――


アーマー名:アイアン(ノーマル装備)lv1


AP:4000 

EN:40  

攻撃:40 

覚醒攻撃:5

防御:35

機動力:40


アーマースキル

マガジンドロップ ※極まれにモンスターからマガジンをドロップする事がある


――兵装――

アサルトマシンガン改

※アサルトマシンガン用 グレネード弾

ロングアックス

アームシールド改


――――――――――――――――――――――――――――


なんとグレネードと、肩にマウントされた斧は以前の倍以上の長さに変化していたのだった。 しかし、アサルトマシンガン&シールドの見た目に変化なかった…

しかし気になるのはアーマースキル”マガジンドロップ”というものだ。

まさかとは思うが、モンスターから弾薬をドロップする事が可能なのか!?


ただ、現実に見ていないので何とも言えない部分はある。

後はグレネード弾とやらも試してみたい。

が、まずはここからだろう。


「ねぇ、それが開発ってやつの成果なの? すごい、なんていうか…滅茶苦茶見た目変わってない?」

「何言ってんだ。 量産機と言えば緑!! ミリタリー感あっていいじゃないか!! かっこいいぞ~!! 創輔!!」

「え~? なんだか、派手になってないかしら? 絶対に前の方がいいわ」

「「ね~!!」」


男性受けはいいが、どうにも新規カラーリングのアーマーは女性陣の受けが悪いようである。

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