第18話 慣れてきた頃が一番危険

ズガガ!!


アームシールドを構えながら前方へ2点射撃を行う俺はゴブリンの頭部に狙いを定め一体ずつ確実に処理を行っていく。

どうにもこのアーマー…これだけ戦闘を繰り広げてきて解ったのだが…旋回力は基、乱戦に不向きである事が理解できた。


何はともあれ、範囲的な攻撃が出来ない分――相手の処理に時間を有してしまう。

なので基本的にはアサルトマシンガンでの処理を優先し、接近してきた個体のみを確実に仕留め―――相手の接近を許さない。


『AP残り75%。 魔法を使用するゴブリンを検知、レーダーにマーキング致します』


すると左上に表示されたレーダーの一点が赤く染まる。


「あそこか」


ズガガ!!


『ギャギャ~!!!!』

『クリア。 急接近中のゴブリンを検知―――前方50m先です』

「なに? 急接近…まじかよ…」


ドスンドスン!!


と地響きを感じた俺は新たなる敵に遭遇する事となった。

モンスター図鑑にはもうすこし奥の方で遭遇すると書いていた筈だが…ここで来るのか!? ゴブリンキング…でかい。

3mは超えよう巨体でありながらも、その接近スピードは尋常ではない。


「なんか、怒ってないか?」

『グォォォォォ!!』


元々鬼の形相であるのは間違いないのだが、遠目でみても理解できる程に怒っているような気がする。


『ふむ。 長居しすぎたのでしょうか?』

「え? ざっと5時間位だろう? それでも長居しすぎだって!?」

『もしくは―――ゴブリンを倒しすぎた等』

「それはあり得る。 だが、あんなもん食らったらひとたまりもねぇぞ! 仕掛ける!」

『こちらで雑魚の情報は常時アナウンス致します、装着者ファクター。 ゴブリンキングの処理を優先してください』

「わかった。 まずは体勢を崩す!」


ズガガ!!

照準をゴブリンキングの足にセットした俺は右足に目掛けて銃弾を放った。


『グォォォ!!!』


ドスンッ!!


『ダウンを確認。 ですが、ダメージは少ないかと思われます』


だよな…ゴブリンキングは見事に前方で体勢を崩したが、再度立ち上がろうとする姿を見る限り―――そこまで決定打でなかった事が解る。


「だが、あの大剣は厄介だな。 両腕をつぶす!!」


ズガガ!! ズガガ!!


『グォォォォォォォォ!!!!』

『ダウンを確認。 効果はありますが埒が明きません―――アサルトマシンガン残弾30―――』

「だよな…体勢を元に戻される前に接近する!!」


ズガガ! ズガガ!!!


『『ギャギャ~!!』』


前方の接近中のゴブリンを処理すると俺は再び腰にアサルトマシンガンをマウントし、右肩のハンドアックスを装備する。


「いくぞ!!」


ガコンッ、ガコンッ!!!


ピピッ!!


『標的後方よりゴブリンメイジの存在を検知。 魔法攻撃――――きます』

「なに!? だが、止まる訳には!!」


ズガンズガン!!!


『魔法命中―――シールド損壊―――ダメージ10%。 のこりAP65%です』

「しゃらくせぇぇぇ!!!」


ガンっ!!

俺は目の前のゴブリンキングの頭部目掛けてハンドアックスを振り下ろす。

だが―――


『グォォォォ!!』

『ゴブリンキング未だ残存―――ダメージは通っています。 このまま連続行動を―――魔法攻撃来ます』

「くそっ!! 次から次へと!! えぇい! 浅いならこれでも食らってみろ!」


ハンドアックスで切り裂かれた頭部の傷跡に向けて俺は腰にマウントされたアサルトマシンガンを取り出すと銃口を傷口に当て、動けない様に頭部へ俺はのしかかる。


『まさかとは思いますが、装着者ファクター―――』

「今、確実に仕留めて置かないと後で厄介だろう? こっちの方が確実だ!」

『了解――ではフルオートモードへ移行致します』

「ナイスだ。 くたばれデカブツ!! おらぁあ!」


ズガガガガガガガ!!!

チュドン!!


『魔法命中。 ダメージ7%。 残りAP58%です』

『グォォォォォ!!』

「おい、早くくたばれって!!」


ズガガガガガガガガガ!! カチャカチャ…


『残弾数ゼロ―――』

「やったか!?」

『………』

『絶命を確認。 攻撃来ます』

「あぁ!! 余韻にも浸っていられないのかよ!! うぉぉぉぉ!!」



――――――――――――――――――――――――――――


『残りAP49%。 ゴブリンキング及び周囲のゴブリンの撃破を確認――――システム、スキャンモードへ移行致します』

「はぁ…はぁ…はぁ…お、終わったか…」


人間慣れて来た頃が危険だと聞くが、本当にそうだったな…俺の油断がこういった経緯を招いた事に間違いは無いだろう。

それにここはよく音が響く―――そこにも注意しておくべきだった。


「はぁ…もう還ろ」

『そうですね。 これ以上の戦闘は――――テレレレ~! アーマーのレベルアップを確認! おめでとうございます、アーマーレベル4に到達致しました』

「いや!! おそっ!! どれだけの時差でレベルが上がるんだよ!!

よ!!」


―――――――――――――――――


アーマー名:アイアン試作型 lv4 開発可能レベル到達

アーマーポイント+8


AP:3000 

EN:34  

攻撃:30 

覚醒攻撃:0

防御:30

機動力:30


アーマースキル

なし


――――――――――――――――――――――――――――


「や、やっとレベル4か…」

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