交戦編ー4
四
―疲れた...周りの生徒はみんな震えてるし、ネガティブな言葉ばかりを発している。「もう死んじゃうかも」とか「ぶっ倒れそう」という発言がさっきから止まないし。―
新島は美術室の窓際から外を眺めていた。先ほど、爆発音がしたのが分かったので、外に向かおうとしたのだが、美術部員に、「いかないで」「ソフトボール部いたらやばいって」などと言われ、美術室から出れないでいた。新島は十人もいないの美術部員の中でも唯一の男子であるため、きっと他の部員からすれば一緒にいて欲しいのだろうと考えた。といっても、何かやることがあるわけでもないため、ぼーっと外を眺めていたのであった。
ふとため息を吐くと、入り口の扉がギイィと低い音を立てて開いた。弦楽部員だ。
「あのぉ、食料を配ることになったんですけど、誰か一階まで取りに来てくれません?」
「ありがとう。じゃあ僕が取りに行くよ。」
新島は一人で取りに行こうとしたが、美術部全員がついてきてしまった。その様子をみて、弦楽部員に笑われてしまった。
「ふふっ。みんな新島君がいると心強いんじゃない?だって、元競泳部でしょ?」
「うん。まあね...」
苦笑いをしながら返事をした。新島は、半年前まで競泳部に入部していたのだ。
「でも、こんなについて来られるのもいい気分じゃないよ...。」
弦楽部員に聞こえるか聞こえないかくらいの声でつぶやいた。美術室は三階にあるため、階段を降りていく、四階の方から、少し焦げ臭い匂いがする。一回目の爆発による匂いであった。一階の倉庫に着くと、他の部活の生徒も弦楽部と協力して食料を受け取っていた。他の部活の生徒たちも美術部員と同じように、疲れが顔ににじみ出ていた。新島たちは、殺風景な倉庫から、非常食である乾パンや、飲料水を受け取った。全員が受け取ると、ぞろぞろと美術室に戻っていく。美術室に戻った部員が言う。
「乾パンって、あまりおいしくなさそう。なんかジャムとかあればなあ...」
「ニスでもかければ?」
新島は、机の上にあったニスの容器を指さしながら、つまらない冗談をかました。
「そんなこと言われると本当にジャムに見えてくるよ。あー」
そう言うと、ぐったりとしながら乾パンを食べ始めた。乾パン一食分を食べ終わると、念のため約一日分の食料をもらったので、残りを美術準備室に保管をした。
「早く終わるといいけどね。」
新島は外を見ながらボソッとつぶやいた。
すると、校内放送のチャイムがいきなり鳴った。声はボイスチェンジャーで男女の区別すらつかない。この事件を引き起こした犯人のようだ。そして、恐ろしい内容を語り始めた。
部活動戦争 @azarasiseal17
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