ログイン14 合点がいったよ
「お主・・・どうやってそこまでの力を・・・!!??」
この言葉を残すと、礼央よりも数倍大きな図体を誇っていたゴブリンキングは意識を失った。支えるものが無くなったからか、それとも奴の首が少し右に歪んでいるからか。頭の上に丁重に置かれていた金の王冠は、ゆっくりと傾き始めるとそのまま地面に向かって落下していった。
「え・・・。今・・・何が起こったんだ??」
しかし、今の礼央にこと切れた怪物のことを考えている余裕はなかった。先ほどから、何度も自分の右手と吹き飛んでいったゴブリンキングとの間を目線で行ったり来たりさせている。
未だに自分の手で起きた事象を頭が理解しようとしていない。ふと、右手を開いて、その中にあるはずの物体に視線を落とす。そこには、ついさっきまで木の棒が存在感を醸し出していた。だが、今はどうだ。握っていれば姿を隠してしまうほど小さくなっている。終いには、開いた瞬間に吹いた横風に煽られ、そのままクルリと回りながら、地面に落ちていった。
「ゴミ屑の中に、金が混じっていた・・・っていう訳でもなさそうだな」
その光景を見つめながら、礼央は一人呟く。手に取った木の棒が何か特別な能力でも持っていて、それが発動してあんな巨体を吹き飛ばしたのかと思っていた。だが、攻撃と攻撃の混じり合う衝撃に負け、情けなくポキポキと折れた姿を見て考えを改め直す。
「もしかして・・・!」
ふと、頭によぎった一つの考え。その正体を確かめるべく、礼央は急いで右手に残る微小の木片を左手で払い去る。そして、無くなったことを確認する時間も惜しみながらあの形を作ると、空中で振り下ろした。
すでに、耳に馴染みつつあるシステム音が頭の中に響く。トップに自分のプレイヤー名が表示された画面の中で、礼央は逸る気持ちを抑えながら、目的の数字を確認する。その数字はすぐに見つかった。それを、視界に収めた途端、礼央の口から感嘆にも似たため息が溢れた。
「ははは! そういうことかよ・・・!!」
込み上げる笑いの感情は、何人にも憚れることなく静かな森で爆発する。目は細み、口角は上がっている。恥じらいを覚えることもなく開かれた大きな口からは、森に僅かにしか入り込まない陽光に通ずる色合いを覗かせた。
『歩行距離:2km』
右上に表示される小さな項目。しかし、この場に限っては存在感を放つように、それは鎮座している。例え、笑顔で目を細めていたとしても、その数字だけは何故かぼやけることはなかった。
その代わりと言うべきだろうか。礼央は、見逃していたのだ。歩行距離が1km増えたことが何を意味するのか。ステータスにどのような影響が及ぶのかを。
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プレイヤー名:サー・レオニカ
レベル:65
体力 :132
筋力 :108
速度 :90
耐久 :98
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