第4回① クローバーフィールド /HAKAISYA/風が強く吹いている

雷華:Twitter:rairai345

中高で柔道部だった。好きな怪獣はゴジラシリーズのアンギラス

アマゾンプライムビデオ。


小城:Twitter:ogisaburo

高校では放送部。好きな怪獣はウルトラセブンのパンドン(初代)

Hulu。


・クローバーフィールド/HAKAISYA(雷華推薦)


雷華「どうだった?」

小城「うん、君が好きなのはよく理解できたよ(笑」

雷華「でしょ(笑」

小城「理不尽に人が死んでいくところか」

雷華「別にそこを楽しんでるわけじゃないけど!?」

小城「そこを一番楽しんでる」(断言

雷華「いやいや」

小城「最近、映画を互いに薦めあってよくわかったよ、君の好み。人が理不尽に死んでいくのが好きなんでしょう?」

雷華「語弊がある! モンスターパニックや怪獣映画って理不尽に人が死ぬのが必須みたいなところあるやん!」

小城「はぁ」

雷華「つまりは、そういうことだよ」

小城「ノーコメントでお願いします」

雷華「なんでさ」


 閑話休題


小城「フィルムの中に残ってた映像、という設定で最初から最後まで一貫したストーリーなんだけど……オチがね、ブラックジョークでしかなかったのが残念」

雷華「最後の映像のところ?」

小城「モキュメンタリーだからね、最後はノイズだけで終わるだけでよかったというか、あのオチは俺はいらなかったかな、て」

雷華「あれ最後の映像の背景で怪獣らしきものが海に落ちてきてるんだけど、気づいた?」※1

小城「あ、それは気づかなかった」


 ※1

 この映画は主人公たちのテープに上書きされている設定になっており、最後のシーンで上書きされる前に海に遊びに行った映像が流れるのだが、よくよく見てみると、背景で何かが海に落ちており、これが劇中で大暴れした怪獣ではないか、と言われている。


小城「あー、そこは評価できるんだけど、最後のセリフだけは蛇足に感じたかな。(怪獣の被害に巻き込まれたことで)最悪な日になったことに対して、『今日は良い日だ』て終わるのは、いらなかったかなって」

雷華「ちょっと出来過ぎた感あった?」

小城「なんていうか『それ言わせたかっただけやろ!』みたいな」

雷華(笑)

小城「あそこだけ臭すぎるんだよね。そのせいで台無しじゃね? みたいな」

雷華「なるほど(笑」

小城「モキュメンタリー映画だから、他の映画みたいに情報が出なくて、何もわからないまま物語が進んでいく、て臨場感を出してたのに、あそこだけ臭くして終わらせる必要性はなかったんじゃないかな。そこが一番気になったし、台無しだったかな」

雷華「ちなみに、映像酔いは大丈夫だった?」※2

小城「俺は画面酔いとかはしないから大丈夫だったかな。ゲームとかでも酔ったことはないし、特撮とかでもモキュメンタリーに近い映像があるけど、それで酔ったことはない」


 ※2

 モキュメンタリー映画は『素人の取った映像』という体で作られているので、手ブレによる画面の揺れが非常に多く、人によっては映像に酔ってしまうこともある。


小城「それに昔にモキュメンタリー映画を見たことがあったわ」

雷華「一時期、ブームになってたくさん作られてたしね」

小城「後輩がね、『パラノーマル・アクティビティ』を『一作目が面白いんですよ!』て一緒に見たな」※3

雷華「あー、それは1作目だけでいいかな……(笑」


 ※3

 超常現象を扱ったモキュメンタリー映画。実話が元になっている作品で、映画だけでも6作品ある人気シリーズ。全作品につながりがある。シリーズものにありがちだが、1作目以降の評価は分かれている。個人的には蛇足感を感じて好きではない。


小城「ラストの蛇足感だけ気になったけど、それ以外は特に文句はないかな、映像も頑張って一枚撮りみたいに編集してるのは良かった」

雷華「映像はすごく頑張ってるんだよね」

小城「ただね、ストーリーラインが無理矢理感が拭えなかったのもある」

雷華「うむ」

小城「緊急事態なのに意固地になって人を助けようとするシーンは必要なかったかな、て」

雷華「あそこでフィクション感が出ちゃったかな」

小城「所々ね、この展開にしたいがための軌道修正が強引でリアリティがなくなってるのがあるよね。主人公がヒロインを何がなんでも助けに行こうとする、みたいな無理やりな展開は正直、好きじゃないな、て」

雷華「難しいところだね」

小城「そうしなければ、シナリオが進まない、てのは解るんだけどもう少しどうにかならなかったかな、て」

雷華「うむ」

小城「文句はすごい言ってるし、評価もあまり高くないけど、やりたいことは解る。ただ、俺の好きな作品ではないなって」

雷華「まぁ、君にこういう映画を好きになって欲しいな、て気持ちがなかったわけではないけど(笑」

小城(笑)

雷華「これがいけたらね、もう少しアレな作品もいけるかな、て考えてたんだけど(笑」

小城「あのね、下手にリアリティに寄せてて真面目ぶってるのが駄目」

雷華「馬鹿になりきれなかった、てのはあるね」

小城「もう少しチープにして「お約束は外しませんよ?」て感じの作品のほうがむしろ好き」

雷華「わかる。今回はモキュメンタリーだったからリアリティのラインが高かったのはあるね」

小城「いっそ開き直ってくれてるほうが好きで、真面目な皮を被りすぎてるんだよね、この映画」

雷華「わかる、B級映画は開き直って突き抜けてたほうが面白かったりするからね」

小城「『したいことがあります』『だから無理やり軌道修正してます』『でも真面目な皮は被ります』はちょっと図々しい」

雷華「なるほど(笑」

小城「だから、この手の作品は嫌いじゃないんだけど、クローバーフィールドはダメだな、て感じかな」

雷華「そうか……じゃあ、もうちょっと馬鹿っぽい映画を探そう(笑」

小城「むしろね、シャークネードとかの方が楽しめそう」

雷華「馬鹿っぽさは間違いなく向こうのほうが上だわ(笑」

小城「サメが台風に乗って飛んでくるんでしょう?(笑」

雷華「そしてなぜか人を襲うよ(笑」

小城「『何でそうなるんだ!』てツッコミができる作品のほうが面白い」

雷華「それはそう。B級映画はツッコミ所が多いほうが楽しいんだよね」

小城「『違う、そうじゃない!』ていうツッコミができる作品のほうが面白い」

雷華「それはそう。ああ言う作品はツッコミ甲斐があるほうが楽しいんだよね」

小城「そうなんだよ。でもクローバーフィールドはツッコメないじゃん? そうはならんやろ、とも言えないし」

雷華「内容としては割と真面目なんだよな。ちょっとお高くとまりすぎてるのはあるね」

小城「そう、お高くとまりすぎてた。もっとB級だと開き直ってればもっと面白かった」

雷華「難しいところだね(笑」

小城「お高くとまってる割にはチープすぎる演出が混じってくるんだよなぁ。どっちかにしろって」

雷華(笑)

小城「後、好きになれるキャラが存在しない」

雷華「それは致命的」

小城「話聞かずに勝手に助けようとしてわけわからん行動する奴いるし、なぁなぁでついてきて巻き込まれて死ぬし、助けた女の子は死ぬし(笑」

雷華「モキュメンタリー映画はだいたい全滅するからね」

小城「なんか人間のドラマが始まるのかな、て思ったら始まらないで死ぬし!」

雷華(笑)

小城「一言で言うと、『違う、そうじゃない!』て感じ」

雷華「やっぱちょっと真面目すぎたね」

小城「俺も普段、B級映画を見るからね、お高くとまってる映画よりも馬鹿な映画の方が好き」

雷華「だいたいのB級映画好きってそういう馬鹿っぽい作品大好きだからね(笑」


・風が強く吹いている(小城推薦)


雷華「好きだよ、こう言う映画。スポ根系ね」

小城「え、本当に? 人は死なないよ?(笑」

雷華「別に人が死んだら喜ぶわけじゃないから!」

小城「人が死んだらキャッキャ喜ぶ人間でしょ?」

雷華「俺を何だと思っているんだ」

小城「映画に関してはサイコパスだな、と」

雷華「そもそもスポ根好きだからね!?」

小城「本当でござるか?」

雷華「本当でござるよ!?」


 酷い言われようである。


小城「俺はアニメから入ったから、アニメと実写の違いが印象深いんだけど」

雷華「うむ」

小城「アニメの方がね、キャラの掘り下げはしっかりしてるんだよね」

雷華「それはあるだろうね、映画見てて中心になるのが3人じゃない?」

小城「中心はカケルとハイジになる」

雷華「後一人、あの漫画好きの……王子か」

小城「アニメだと、王子は中盤の壁になるんだよね」

雷華「映画の方だとその3人が目立つよね」

小城「うん」

雷華「何となく見てて、冒頭のハイジとカケルの出会いもそうだけど、省略してる部分はあるんだろうな、とは思うんだけど一本の映画としてはちゃんと纏まってると思うのよね」

小城「それはあると思う」

雷華「展開としても別に唐突感はないし、無理やりなところもなかったし」

小城「アニメだとね、大きな流れは一緒だけどハイジとカケルの出会いは食い逃げじゃなくて万引きなんだよね。それを見たハイジが追いかけてスカウトする、みたいな」※4


 ※4

 映画の方ではすでにハイジが声をかけており、カケルの技量を測るために食い逃げをすると言う展開。実は食い逃げをした店もグルであり、カケル自身はうまいことハイジに担がれた形となる。


小城「カケルはね、アニメ版だともっとストイックな性格と高校時代の問題もあって、もう少しツンツンしてる」

雷華「そうなんだ」

小城「アニメではね、チームメンバーが全員、最初から走れる、て設定はなくて本当にド素人集団なのよ。だから余計にカケルも『このメンツで箱根駅伝は無理です』になったりとかね」※5


 ※5

 映画ではメンバーは格安の寮に入る代わりに毎日マラソンをする必要があり、駅伝に参加するための下地ができていると言う設定。


雷華「そこらへんは二時間で納めるための変更なんだろうね」

小城「キングもね、アニメだともっとツンツンしてる。就活をしてるから、箱根参加については否定的だったりとかね」

雷華「映画版だと、協力的だしね」

小城「一番変わったのはユキかな。アニメだと、司法試験突破したから残りの大学生活は有意義にするって言ってクラブ通いしてるのよね(笑」

雷華「映画だとみんなの橋渡し的存在なのに(笑」

小城「そんな一癖二癖もあるメンツをどう説得していくかみたいなのはアニメではあった」

雷華「ユキも映画だと割と重要なポジションだったよね」

小城「メンバー間の接着剤にしてたよね、二時間でまとめるためにいい兄貴ポジションっていうか」

雷華「カケルとの関係も良かった」

小城「ムサの扱いも面白いよね。特待生できてるのに助っ人外国人枠みたいな扱いされるっていう(笑」※6

雷華「頭の良さで来てるやつを走らせるんじゃないよ、てね(笑」


 ※6

 黒人の留学生。黒人であることからチームメンバーの外国人枠で期待されるも、本人は成績優秀者の特待生であったために別に足が速いというわけではない。劇中でも本人が突っ込んでいる。俳優さんはソフトバンクのCMで出てるあの人。


小城「あと、カケルの元同級生の人、あれメビウスの人だよね」※7

雷華「そうそう、俺も最初見た時に思った「あ、メビウスだ」って」

小城「メビウスがヒール役やってるってね(笑」


 ※7

 榊浩介役の五十嵐隼人さんのこと。かつて、ウルトラマンメビウスでウルトラマンに変身するヒビノ・ミライを演じていた。


雷華「あのキャラの立ち位置も美味しかったよね。最初はちょと嫌味なキャラとして登場しつつ、強豪校としてのプライドを持ってるんだよ、みたいな。最終的にカケルのライバルポジに落ち着くっていう」

小城「後はね、カケルがヒロインに対して好意があります、みたいな感じだったけど、アニメではないんだよね」

雷華「あ、ないんだ」

小城「アニメ版では双子のどっちかと付き合うみたいな。カケルはむしろレースに対してのモチベーションしかないから、恋愛に対しては興味がないんだよね」

雷華「ああ、逆にね。映画もストイックだったけど、アニメはもっとストイックなわけだ」

小城「後、カケルが第九区を走るときに最強の学生みたいな感じで藤岡って出てきたけど、彼もアニメ版の方が出番は多い」

雷華「だろうね、なんかハイジとの因縁があるっぽかったし」

小城「二時間の映画に収めるために、割と色々、端折ってるんだよね」

雷華「確かにキャラの掘り下げではアニメほどじゃないかもしれんけど、それでも楽しめるラインでは十分あったと思うよ」

小城「それでも、アニメの要所要所のエピソードはそのままだから、綺麗にまとめたな、て印象はする」

雷華「いい感じにまとまってると思うし、一致団結する流れも良かったし、いい映画だったと思うんだけど、個人的に一個、あんまり好きじゃない要素があって」

小城「はい」

雷華「ハイジが最終的に故障を押してレースに出るでしょ? で、まぁ最終的に歩けないぐらいボロボロになってゴールするんだけど」

小城「うん」

雷華「その流れは感動的ですごくいいシーンだと思うんだけど、個人的にね、あんまり故障しているのに無理して大会に出るっていう流れがあんまり好きじゃないんだ」

小城「あー」

雷華「フィクションだからあんまりそこを突っ込むのは野暮だと思うんだけどね。そこだけどうしても気になっちゃったのはある。故障とかじゃなくて怪我とかだったら良かったんだけど」

小城「スポーツ物の王道展開ではあるんだけどね」

雷華「そうそう、だからこそ否定はしたくないんだけどね。それに最後の大会に全てを賭けるっていうのは盛り上がる展開ではあるしね」

小城「大学四年生の箱根駅伝だから最後のチャンスだぜっていうのもあるから、展開的には理解できるんだけどね」

雷華「そうそう、理解はできるんだけど……どうしても保護者目線になっちゃうのよね。故障が爆発するかもれないのに無理して走ったらダメでしょう、てね。そこだけがね、どうしても引っかかってしまった」

小城「そうなんだけど、ハイジ自身にとっては箱根駅伝で走るっていうよりもカケルを通して『走るってなんだろうな』て考える、てのが本質にあって、その結果の回答として箱根駅伝を走るってのいうがアニメだと描写されてるんだよね」

雷華「ああ、なるほどね」

小城「それを伝えるシーンが、多分ないよね」

雷華「いやね、頑張って入れようとしてる部分もあったからね」

小城「やりとりとしてはあるんだけど、伝えきれてない、てのがあるんだろうね」

雷華「尺の関係もあるからそこら辺のハイジの心理というか、内面の描写がやっぱ足りなかったんだろうね」

小城「ストイックに結果を求めるんじゃなくて、箱根駅伝を走り切るっていうのが本質だからね」

雷華「難しいところだなぁ。二時間の映画に収め切るには限界なんだろうなぁ」

小城「どうしてもね」

雷華「でもまぁ、そこを除けば纏まっていたし、普通にいい映画だったと思うよ」

小城「なんかやっぱ色々な部分で惜しいなぁ、ていう映画」

雷華「とりあえずアニメ版も見てみるかな」

小城「アニメだと色々足りなかった描写があるから。俺はアニメ大好きだから」

雷華「アニメの方はね、わりといい評価をちらほら聞くから」

小城「でも俺の周りだと見てくれている人がいないんだよね。だからこそ、映画をきっかけに見てほしいな、て」

雷華「布教のための布教(笑」

小城「まぁ、アニメも面白いんで、ぜひ見てください(笑」


 次回なにを見る?のパートは(主に小城が)白熱したので今回は分割します(笑

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