僕の女神様

アオヤ

第1話 会いたいけれど・・・

“おはよ〜 今日も一日ガンバロ”


朝6時、いつもの様に俺の彼女?星野雪乃から目覚ましメッセージが届く。


“おはよ〜 雪乃も頑張ってね”


雪乃は東京、俺は北海道の札幌で暮らしている。

いつもの他愛ないやり取り。

もう半年になる。


俺は青木翔、乳製品の会社で営業している24歳の普通のサラリーマンだ。

半年前、辞令が出て突然札幌に移動となった。


雪乃とは幼馴染みで高校あたりから一緒によく遊んでいた。

そして気がつけばいつの間にかつきあっていた。


辞令が出た事を雪乃に知らせると彼女は悲しそうな目をしていた。

"遠距離は無理。別れよう!"

そう告げられると思っていたが・・・

意外にも・・・

「翔くんは遠距離だと私の事忘れちゃう?私はずっとじゃなければ我慢できるよ!」

そう言ってくれた。


俺は跳び上がる程嬉しかった。


俺が転勤して間もなくはLINEでのやり取りだけだったが・・・


暫くすると雪乃が"VR世界で旅する名所巡り”というモノがある事を発見した。

VRスーツ、VRゴーグル、ヘッドセットを装着すれば、VR世界の名所で待ちあわせして会う事が可能らしい。

流石に十数万円の出費は辛かったが・・・

これで毎日雪乃と会う事が出来ると思うとそれだけで嬉しくなった。


俺と雪乃の分それらをサクッと買い揃え、アプリのIDを取得したらなんだかドキドキしてきた。

VRの世界ではあるが、これで雪乃と会う事が出来る。


“今晩4月1日7時、スカイツリーの展望デッキフロア345で待ってます。”

雪乃からLINEが入った。


速攻で返信した。

"久々に会えるのを楽しみにしてるよ。"

俺は久々に雪乃の顔が観られると思うと・・・


仕事中ニヤニヤしていると言われてしまった。

危うく課長から残業を言い渡されるところだったがなんとかかわす事ができた。

俺は定時でこっそりと職場を抜け出した。


午後6時、部屋に帰り軽くシャワーを浴びる。

せっかく雪乃と会うのだから身だしなみをと思ったがVRの世界では関係ないのだろうか?


俺は初めてのVR世界へ出かける準備をはじめる。

VRスーツを着て、ヘッドセットを装着し、ソファーに座りVRゴーグルをセットする。

マップの設定は東京スカイツリーにセットした。

ID設定は済んでいるのであとはスイッチを入れるだけだ。


午後6時50分俺はスイッチを押した。

「"VR世界の世界名所巡り"へようこそ。これからあなたを名所、東京スカイツリーへご案内いたします。2時間の旅をお楽しみください。」

機械的なアナウンスがながれたと思ったら、俺はフウッと夢の内に吸い込まれる様な気分になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る