反乱口実話

反乱口実話(はんらんこうじつわ)

　恋愛　今日実は

　告られちゃって驚きだ

　連載　早急に作られちゃった恋話

　傷跡を踏んでは思い出して

　沈むように心を病んで

　空を見上げればあの日の思い出が

　思い出されちゃう　嫌なのに

　まだ一巻　思いもしないティーンズラブ

　そのストーリーが展開（ひら）いてく

　ならなかった少女漫画の純愛ストーリー

　もうストーリーは止まらない

　まだだよって、聞かなくて。

　また（・・）ないよって、言ってきて。

　「また」を聞いて、諦めた。

　天井の滲みを数えて

　滲みの数分（かずぶん）の思い出を懐かしみ

　いつの間にか「死にたい」あたしが

　彼によって「生かされた」みたいだ

　まだ二巻　思いもしない転結

　別れ話を急に告げられてく

　心痛い　思い出したくない先月

　分からない自分の気持ち

　まだ三巻　思いもしないアダルト

　リアルストーリーが展開（ひら）いてく

　ままならなかった普通の物語

　もうあたしは混沌（カオス）の中へ

　堕ちた

　煙草を蒸して、煙を吐いて。

　汚れた白い靄（もや）と重ねる。

　自棄（やけ）酒と自堕落と

　そして、うわべっつらの男。

　「死にたい」すら思わない駄目女。

　戦場から逃げ出した安馬（あま）

　あたしを戦場に誘い、連れ去ってく

　いつの間にか始まる号哭（ごうこく）

　涙に見えたのは酒だったみたい

　反乱（はんらん）口実話（こうじつわ）

　真面目きった社会に反旗を翻す

　波瀾万丈の腐りきったあたしらの暴動

　男女揃って何人か

　昇るように騒いでく

　街明かりの中でホテルに泊まろうよ

　こんなにいるんじゃ泊まれない

　って、私達は半分になった

　反乱（はんらん）口実話（こうじつは）

　真面目っぽい奴らもいたみたい

　「期待しない」が孕むそのオーラ

　波瀾万丈だけど孕むことはなさそうだ

　まだ四巻　思ってるより遅い刊行

　そのストーリーはゆるりと進んでく

　まだトゥエンティー

　モラトリアムの中で犯された罪

　あたしの招いた罰

　天空の雲を数えて

　雲の数だけ今までを振り返り

　いつの間にか「死に急ぐ」あたしは

　今日から「ゆっくり歩いてく」みたいだ