黒歴史開放!

「『ステータス』」


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フィン・トレード


人族


魔力:365032


適正属性:無属性魔法〈創造〉LEVEL5

     ストック1〈炎龍〉

     ストック2〈身体強化〉

     ストック3〈回復〉


スキル:《剣術》LEVEL9


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「すっかりステータスも上がったなぁ」 


 魔力が特に。魔力はすでに師匠を超えてしまった。


 師匠は普通って言ってたからな。少し超えるくらいなら誤差だろう。


 無属性魔法とスキルにはレベルがあって、最大10らしい。 


 ストックっていうのは、創った魔法を保存できて、魔力を流し込むだけでいつでも発動できるというものだ。


 何か、ますますチートっていうか。色々、便利です。


 師匠によると魔法もスキルもレベルマックスが普通らしい。


「フィン〜、準備できた〜?」


「できてるよ」


 今日中に村を出なくてはいけない。


「じゃあ〜気をつけて行くのよ〜」


「うん」


「頑張ってこい!」


「まあ、ほどほどにね」


「お兄ちゃん……」


 ソフィアが涙を堪えて俺を見つめる。


「ソフィアは、泣き虫を治そうね。俺がいなくても大丈夫?」


 俺はソフィアの頭を撫でる。


「ううん。やっぱり寂しいよぉ」


 ソフィアが俺に抱きついてくる。


「大丈夫だよ、長期休暇のときは必ず帰ってくるし、手紙も毎週出すから」


「うん……お兄ちゃん、頑張ってね」


 ソフィアは、俺から離れて笑顔を見せる。


 やはり俺の妹は天使なんだと再確認できた。


「あとね、彼女作っちゃだめだよっ」


「分かってる、俺のお嫁さんはソフィアだけだよ」


 どうやら、この世界は近親婚が普通らしいからな。


 それに、ソフィアは天使だから嫌じゃない。


「うんっ。じゃあいってらっしゃい」


「ソフィアも来年入学だからな、頑張れよ」


 俺は家族と別れを告げて家を出た。



◆◇◆◇◆◇



 王都。アラード学園。

 冒険者を育成するための機関。


「うわっ、広いな〜」


 外見もそうだったが中も凄い。


 体育館てきなところに千人くらいの人数が入っているがそれでもまだ余裕がある。


『新入生の皆さん、只今より実技テストとステータス公開を行います。適当に十個のグループに別れて下さい』


 よし、さっそくヤバいな。

 ステータス公開とか聞いていないぞ。

 チートな魔法だし、適正属性なしだぞ。


 ま、それは創造で何とかなるか。


「おっ、ラッキー。前から四番目」


 実技テストはなんか十メートル先の的に魔法を当てるてきなやつらしい。


「それでは、試験を始めます。まずは、マルコ・ブレイブ」


「はい」


 一番は金髪の少年だった。


「『光よ。周囲を照らせ。光よ。敵を討ち滅ぼせ――ライトニング・スピア』」


 少年の手のひらから放たれた光弾は的を破壊する。


 それを見た俺は、今から来る羞恥に顔を赤く染めていた。


 詠唱しなくちゃいけない!


 そうだった。俺は創造のおかげで無詠唱でできていたが、本来は習得に結構時間かかるやつだ。


 ここで、普通を捨てるか、恥を捨てるか。


 決まっているな。


 俺は、恥を捨てる。


「四番、フィン・トレード」


「は、はい!」


 俺は前に出る。てか今からの羞恥プレイのせいで俺の顔は真っ赤だ。


「見ろ、アイツ顔真っ赤だぜ」

「やめてあげろよ、さすがにあの三人のあとじゃキツイだろ?」

「まあ、そうだな。なんていったって、聖女と勇者候補と魔導師候補だったんだからな」


 クソッ、絶対アイツら俺を嘲笑ってる。


 あ、ていうか俺、詠唱知らないんだけど。

 あれ?どうしよう。ヤバいヤバいヤバいヤバい……


「どうしましたか?」


「い、いえっ」


 声が裏返った。恥ずかしい!


 もう、いいや。どうにでもなれ!


 出番だぞ、前世の俺。


「『我の命に応えよ。我に血肉を捧げよ。我は世を終焉に導き者。顕現せよ、我が忠実なる下僕――炎龍』」


(『ストック1、消費魔力10000』)


 魔力が空中に霧散し一匹の龍を形作る。


 それは、炎を纏った龍。


「あの的を破壊しろ」


 ドゴォンッ。


 命令通り、的は破壊され炎龍は消えてなくなる。


 ざわざわ。

 辺りが騒がしくなる。

 絶対に俺のこと嘲笑ってる。


 も、もう耐えきれん!


「あ、ありがとうございましたぁぁ!」


 俺は走って逃げた。


「ちょ、ちょっと?!あなた、何者?!」


 試験官が何か言ったが無視する。


 あああああああああぁぁぁぁぁぁぁあ!

 恥ずかしいぃぃぃぃぃ!!



◆◇◆◇◆◇



 一方、その頃試験場では。


「『炎よ−―ファイアー・ボール』」


 男が唱える、初級魔法を。

 指先から小さな炎の玉が出る。

 それは、ゆっくりと進み。


 ボフッ。


 的に当たり消滅。


「いよぉおし!」


 男は喜んでいた。


「『敵を穿て――ウォーター・フロウ』」


 手のひらから細い水が勢いよく出る。


 バシャッ。


 的に当たり飛沫をあげる。


「おお〜、中級魔法か」

「凄いなぁ」


 ………………。


 ………。


 普通の冒険者は初級魔法まで使えたら良いとされる。


 何故なら、火をおこせ、水が出せるからだ。

 つまり、もとから戦闘のための魔法ではないのだ。


 しかし、魔法使いという魔法攻撃専門の冒険者もいる。彼らは、殺傷能力を持つ中級魔法でも上位のほうを使う者が多い。

 そして、上位魔法を一つでも使えることができれば凄いとされる。


 だから、絶級魔法を使う者はほんの一欠片しかいないのだ。


 ましてや学生のうちに使えるのは千年に一度の天才と呼ばれる程の逸材である。





 


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