第3話君はもう洋ナシだ!2

ある男は驚愕していた。その男の目は、歩く物体を捉えている。

それは、洋ナシだった。

丸いボディ。とてもスタイルが良い。ボンッキュッボンであった。それと、みずみずしい緑の体。

それは、まさしく洋ナシだった。

「ははは…俺はどうやら悪い夢を見てるようだ…。」

そして、頬をつねる。むろん痛かった。

男は、ひとしきり笑うと。

「夢よ、醒めろオオォォォ!」

バチィインッ!!

男は、自らの頬を引っ叩いたのである。いわゆるビンタである。

「何だ何だ!たちの悪い夢だなあ!」

バッチィイインンッ!

男は、さっきよりも強く自らの頬を引っ叩いた。

その時、彼に、誰かが話しかけてきた。


「!?」

洋ナシ、もとい勇者の目の前に、変質者が居た。

自らの頬を引っ叩いて、笑っているのである。

だが、次の瞬間、その考えは改められる。

「何だ何だ!たちの悪い夢だなあ!」

この男は、夢から醒めようとしているのである。

夢ではないので醒めようがないのだが。

確かに、夢だと疑う気持ちも分かる。洋ナシが歩くだなんて、前代未聞であろう。

勇者は真実を教えてあげることにした。

「なあ、夢じゃないぞ。」

男は振り向いた。

「へっ?」

そして、

「洋ナシが、洋ナシが、喋ったあああああ!!!」

男はさらに強く引っ叩こうとする。

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