5ー47

 次に、途中途中で場面を入れ替えたりするそうで、CG撮影用の緑バックでの撮影。

ここには、歌詞にあるような川の流れとか、雲の動きとか、桜吹雪とかが映し出されるそうだ。


着物のまま1人ずつ、大輝から撮影していった。

仁王立ちして、腕組みをしろって。

貫禄があって、キマっている。

自信に満ちあふれてる感じのいい表情。

さすが、リーダー。


次に、瞬が緑バックに立った。

少し斜に構えてカメラを見てって。

着物姿の瞬は、なんてゆうのか、イイトコのお坊っちゃんってゆうか、あ、御曹司って雰囲気。

頭の良さと上品さが増している。


次に悠弥。

なんか、かわいい。

なんか、見てるだけで笑える。

時代劇で言えば、店の前で、ホウキではいている  

下っぱの人って感じ。

裾をめくりあげて、雑巾がけしてる役の人みたい。

そんな想像をして笑っちゃった。


次に俺かと思ってたら、龍聖が呼ばれた。

額に手の甲をあてて、上を向いて太陽を眩しがるようにと指示されている。

目を細め、流し目でカメラを見た。

わ!すげー!色気がダダ漏れ!


最後に俺の番。

両手でお椀の様な形にして高く挙げろって。

そこにCGで水が手のひらから流れ落ちたり、それが砂に変わったり、花びらが舞ったりするんだって。

それを切なそうに見つめてと言われた。

言われた通りやった。

なぜか、涙が流れた。

最近の俺、泣き虫だな。

泣く演技しろとか言われてねーのに。

すごく良かったと監督さんに褒められた。


「じゃ、最後にkeigoさんとRyuseiさんだけ衣装チェンジで!

お3人は私服に着替えて頂いて結構です!」

と言われた。

俺と龍聖だけ別パターンって多いな。


着替えた衣装は袴姿。

龍聖は髪をポニーテールみたいにされている。

なんてゆうんだっけ?あの人!!

あ、新撰組の沖田総司って感じ。

俺も、前髪をギュッと縛り上げられて、ちょっと目がつり上がっちゃってんじゃね?って感じ。

着付けしてくれた おばちゃんが、イイ男だね~!!イイ男だね~!!を連発してて笑った。


監督さんから、簡単な殺陣をやってもらいますって、刀を渡された。

刀!!

もちろん、ニセモノだけど。

ってか、刀なんて、持ち方もわかんね~。

殺陣師の先生が、丁寧に持ち方や動きを教えてくれた。


えっ?マジか!!


龍聖は、着物も着慣れているし、所作ってやつがちゃんと出来るらしく、1回見て 殺陣師の先生と同じ動きができている。


俺はと言うと、すげー鈍くさい奴みたい。

手を気にしていると足が止まってしまう。

足を気にしていると、手の動きが疎かになってしまう。

マジでムズい!!

しかも、袴の裾を踏んで転びそうになる。

これ、長過ぎじゃね?


「keigoさん、足、上げないで、すり足ってできますか?そうすれば裾 踏まないので」

と、三崎さんが声をかけてくれた。

「すり足?」

三崎さんは、殺陣師の先生と何か話し、

「keigoさん、ちょっと 刀 貸してもらえますか?

私、先生とやるので、keigoさんの動きをゆっくりやりますね!見てて下さい」

と言った。

えっ?

三崎さん、今の見てて覚えたの?


お互いに刀を構えゆっくりと左に回り、先生が振りおろし、三崎さんは後ろに下がってよけ、刀を下から振り上げた。

それを、先生が受け止めて、刀を合わせて押し合うみたいな感じ。

ドンと先生が押して、三崎さんが尻もちをつき、倒れ込む。

先生が、三崎さんの顔のすぐ横の畳に刀を突き刺した。


なんてゆうのか……

見惚れてしまった……


三崎さんは起き上がると、俺を見てニコッと笑った。

「keigoさん、ゆっくりやると こんな感じです」

「…………」


キレイだった。

ちょうど、ワイドパンツが袴の様で、足の運び方もよく見えた。

細い足首。

「keigoさん?」

「あっ!三崎さん、ありがとう!やってみます!」

今の動きをそのままに、先生とやってみた。

できた!!

「完ぺきじゃないですか!!」

と、三崎さんは胸の辺りでガッツポーズをした。

今、先生がやったやつを、龍聖がやる。


龍聖と向かい合った。

「じゃ、最初ゆっくりで。二人で息を合わせてみて!」

と、殺陣師の先生が言った。

パン!と手を叩いたのを合図に、お互いに刀を構えて時計回りに周り、龍聖が大きく振りおろし、俺は一歩下がってそれを避け、下から刀を振り上げた。

それを、龍聖が受け止めて、にらみ合うような感じ。

ドンと突き飛ばして、俺は倒れて、俺の顔ギリギリ辺りに刀を突き刺す。

「いいよ!いい!!」

と、殺陣師の先生が言い、

「オッケー!やれそうだね!」

と、監督さんも言ってくれた。

「今の感じでいいんだけど、今の2倍速でやってもらえると更にグッドなんだけど!」

とダメ出しされた。

「やってみます。じゃ、龍聖!16ビートでいいかな?」

「あはは!了解!」

やってみた。

ゆっくりよりも、早い方がやりやすく感じた。









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