5ー16

 今年は、バイオリンのソロコンサートもやらせてもらった。

これをやるにあたって、ハリスに来日してもらって、選曲を一緒にしてもらったり、アドバイスをもらったり、裏方でサポートをしてもらった。


10年ぶりに2ヶ月弱ハリスと過ごした。

フランスで、いろんなところに連れて行ってもらったお返しで、日本の自慢できるところをいろいろと案内した。

俺の運転で、一緒にドライブした。

ハリスは俺にとって、恩師のような、親戚のおばちゃんのような、家族のような人。

大好きな人だ。

ジョージを紹介してくれて、oneと引き合わせてくれたハリスには感謝しかない。

俺のバイオリンのコンサートをすごく喜んでくれて、やっとハリスに恩返しできたような気がした。

一昨年、ジョージが来日してくれて、oneのライブに一緒に出させてもらったことを話した。

ハリスは、フフフと笑い、知ってると言った。

「おととしの12月よね。日本からロンドンに戻ってきたところだって言ってたけど、ジョージから電話がきて、結婚してくれ!って言われたわ」

「えっ!?結婚!?」

「そう。なんで突然?って聞いたら、桂吾に会ってきたって。すごく立派に、1人前になってたって。すごく嬉しくて、自分の子供が1人前になってくれたみたいに嬉しくて、ハリスと結婚したくなった!って。意味不明でしょ?

でも、私も ジョージのその言葉を40年近く待ってたのかな~って思って。

イエスって答えちゃった。フフフ。

いい歳こいて、意味不明でしょ?」

そう言うと、左手を俺の目の前に出した。

綺麗な指輪が薬指に輝いていた。

「マジかよ!!おめでとう!!やべー……

すげー……泣けてきた。良かった……マジで……」

俺は、右手で顔を隠して俯いた。

「桂吾!ありがとね。ホントに優しい子。

こんな、優しい子に育ててもらって、日本のおじいちゃんおばあちゃんにマリアは感謝しなきゃいけないわね!!」

ハリスは、優しく俺の髪を撫でてくれた。

「その言葉、前にも聞いたよ」

「桂吾のおかげよ。ありがとう」

「俺は、なんもしてないよ。俺の方こそ、ハリスにジョージを紹介してもらったことで、今の俺があるくらいだよ。

ハリス、あんなクソジジイだけど、よろしくお願いします」

「あはは。了解。ありがとう」


大好きな人と大好きな人が結婚してくれたなんて、本当に心から嬉しい気持ちになった。

もう60過ぎてる2人だけど、幸せになるのに歳なんて関係ないなと思った。



 夏、有名な野外ロックフェスのオファをもらった。

俺は、悠弥とデビュー前に何回も行っていたフェスだったから、これに俺らが呼ばれるんだ!って、なんかちょっと意外な感じもした。

だけど、素直にやりたかったから、やりたいやりたい!!と言いまくった。

瞬は、野外ということが気に入らないと、音響とかを心配していたけど、ロックフェスなんだから、ノリノリのロックを爆音で搔き鳴らそうぜ!!って、俺と悠弥が説得した。

最終的には、

「フェスって、お祭りみたいなもんだよな~?

俺、1回も行ったことね~んだけど。

音響とかは置いといて、俺らも観客も、みんな楽しめればいいんじゃね~?」

と、大輝が言って、Realはロックフェスに初参加することになった。


観客として見るのと、ステージから見るのとでは、全然 景色が違っていた。

普段のライブで、ホールやアリーナでやるのとも、全然違う。

天井がないって、空が見えるって、なんて開放感なんだろう。

超 気持ちいいー!!

爆音で演奏して、歌って、走って。

普段のRealのライブとは違うから、時間も短かったし、もっとやりてーー!!って感じだった。

 

屋外でライブをすることに抵抗があった瞬も、だいぶ考えが変わったみたいで、来年以降のツアーで、スタジアムツアーとかを検討してもいいかもと言い出した。

みんなもその意見に賛成して、スタジアムでRealのライブをやりたいなと話した。







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