5ー38

 「準備お済みですか?」

スタッフの人が、ドアをノックしてそう言った。

顔を覗かせ、

「あ、keigoさんまだですね。そのガウンに着替えてください」

と、ニコッと笑った。

「あっ、すみません!秒で着替えて行きます!!」

ずっと、龍聖と話しこんでいた。

こんな話をしてる場合じゃない。

仕事中だろ。

今ごろ気づいたけど、龍聖はガウンに着替えていた。

パンイチで、ガウンを羽織って、撮影スタジオへ龍聖と入って行った。

「よろしくお願いしまーす!!」

挨拶して入ると、撮影スタッフさん20人くらいいた。

カメラマンさんは、前回の 俺と龍聖の写真集でも担当してもらった根岸さん。

俺にカメラを教えてくれた人でもある。

「keigoさん、今日カメラ持ってる?」

「うん、今日根岸さんって聞いたから、時間あったら見てもらおうと思って、持ってきたよ」

「じゃ、あとで見せてね!

それじゃ始めますか!Ryuseiさん、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

ガウンを脱いで、龍聖とパンイチになった。

久々に、龍聖の裸まじまじ見たけど、ほんとカッコイイ!キレイだ!

彫刻みたいに割れた腹筋。ムキムキした感じじゃなくて、細マッチョな感じ。

身長187センチ、とにかく足が長い。

パンイチだと、それが顕著にわかる。


スタジオのセットは、ホテルの部屋って感じ。

大きなベッドがドン!と置かれている。

今回の写真集のテーマは、ガッツリBLだそうだ。

2人、攻めと受けを両方やってもらうからと言われた。

BLの用語はよく知らないけど、男女の関係で例えるなら、男役が攻めで、女役が受けと言うことかな。

最初に龍聖が攻めと言われ、俺は仰向けでベッドに寝ろと言われた。

龍聖は、根岸さんの指示通りに俺をまたいで顔を近づけた。

ってゆうか、すげーな龍聖!

こんなに大勢に見られてんのに、ハズくね~のかよ?

俺は、めちゃくちゃ照れて、顔 紅くなっちゃってんじゃね!って思ったら、もっと恥ずかしくなった。

根岸さんが、舐めるように接写してくる。

俺の耳たぶを甘噛みしろと言われ、龍聖は躊躇することなく軽く噛んだ。

わっ!なに!この感じ!

耳たぶ甘噛みとか、女とセックスする時もやられたことないな!

ゾワゾワする。

いいね!いいね!って、根岸さんもノッている。

龍聖の顔!すげーエロい顔してんだけど。

俺は、どんな顔してる?大丈夫か?

今度は、俺のヘソの辺りで、ベェ~っと舌を出せと龍聖は言われてる。

俺は、仰向けのまま。

腹の辺りを、つかまれてピクっとしてしまい恥ずかしかった。

そのあと、龍聖もベッドに横になるように言われた。

俺の横に並んで寝て、横向きになって俺を見てフッと微笑んだ。

なんだ~?今、すげードキっとしたぞ!!

龍聖が表情を崩したのは、ほんの一瞬、あとはいつも通りと言うか、無表情な感じで根岸さんに言われた動きをする。

なんの照れも感じさせない。

マジですげーな。


今度は、交代して俺が攻める番。

龍聖がベッドに仰向けになった。

龍聖をまたいで、俺はよつん這いの状態。

「キスして!」

「えっ?マジですんの?」

「あはははは!フリ!フリ!3センチで止めて!」

根岸さんが笑った。

最初から言ってくれよ!びびったわ!!

龍聖は、軽く笑った。

なんなん?龍聖のこの余裕な感じ。

あ!!ってゆうか!!俺が考えてること見られてんのか?

おいおい、俺1人で動揺しててハズいじゃん!

とりあえず、言われたように龍聖の唇まで3センチのところで止めた。

「Ryuseiさん、目を閉じて。keigoさんは、目開けて見つめてください」

うわっ!マジでイケメン!!

高い鼻。

厚めのくちびる。

やわらかそう。

これ、ちょっとだけ、マジでキスしたくなってんだけど。

いやいやいや、俺そっち系じゃね~から!

でも、龍聖だったら いいか……

って!!

これ、読まれてんのかー?

違うから!違うから!龍聖!

ほんと、違うから!

やべー!!俺、だいぶキョドってんじゃん!!


次に、左手を龍聖の右手と恋人繋ぎして、上に挙げて、龍聖の脇の下に顔をうずめろって!

駄目だ……ちょっと、これは笑える!!

笑いをこらえるのに必死だ。

ワキ毛 ボーボーの龍聖の脇の下に顔をうずめた。

男臭いエロいニオイがした。

これは、俺が攻めなのか、なんなのかも、ちょっと わからない。

マジで!誰 需要なんだよ!!

ワキ毛見たいか?

歓ぶ人いんのかよ?

根岸さんは、相変わらず、いいね!いいね!を連発しながら、接写してる。


「はい!OKです!」

セットチェンジしますので、Ryuseiさん、keigoさんは、控え室で休憩してください。と、スタッフさんに言われた。

パンイチの上に、ガウンだけ羽織って控え室へ行った。



「前回の写真集より、かなりエロいな!」

コーヒーをカップに注ぎながら、龍聖が笑った。

「なー、龍聖!俺の思ってることも全部読めちゃってるってこと?」

「ところどころだな!ハズい!ハズい!は、読めたけど」

「ハズっ!!」

「あ、でも、基本 桂吾は読めないよ!読めない人だから。

さっきの倉田君みたいに簡単に読める人と、読めない人がいるんだけど、桂吾は、読めないこともないけど、読むのがかなり難しい人。

あ、ゆきちゃんも、読めない人だったよ」

「えっ?」

「花を買いに行った時に、あ、ゴメン!読もうとしたんだ。桂吾がマジになってる彼女に興味があったから。

だけど、見えたのは~、う~ん、なんてゆうのかな、イメージ映像みたいに、清流みたいな流れが見えただけだった。

ゆきちゃんの心の中は、全く読めなかったよ」

「そうなんだ」

「桂吾の気持ちは、読まないから、気にしないでやってくれよ」

「龍聖に読まれてるって思うと、どんどん思考がそっちに寄ってっちゃって、ちょっとおかしな感じだったな俺!

じゃ、休憩明けはマジでエロさ出してくか!あはははは~!」

「あぁ!なかなかできる事じゃね~からな!

楽しもうぜ!!」

「楽しもうぜ!って、なんかそれがもうエロいな!龍聖!あはははは!」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る