ep.39
遅くなりましたが、
あけましておめでとうございます
────────────────────
「いやぁ、今まで男友達すら出来なかった
宇津にまさかあんな可愛い女の子の友達が
出来るなんてなぁ……」
「…別に高校二年にもなって友達がいない方が珍しいだろ。それに男友達なら去年から一人いるし」
「高校生にもなって友達が一人しかいない方が珍しいんだよ。……まぁ、宇津にあんな美人な友達ができたのも桃華ちゃんのおかげなのかもなぁ」
時間は12時を回り、親父は帰り道で買ってきたビールを飲み、俺は夕飯のデザートであるケーキの余りを食べながら近況について話す。
桃華は夕飯まで結構な時間寝ていたというのにまだまだ寝たりないらしく、30分程前に
おやすみなさいと言って自室に入った。今頃ベットの中で気持ち良さそうに眠っているだろう。
「…桃華ちゃんは学校ではどんな感じなんだ?」
「時々桃華と連絡取ってるみたいだし知ってるだろ?」
「知ってるけど、宇津から見た様子とかも知りたいんだよ。一応、桃華ちゃんの保護者をやらせてもらってるからな」
急遽家で引き取る事になったので、親父も心配事が色々とあるんだろう。
学校での最近の桃華の様子を話しと、元気そうでよかったよ、と言って息を吐く。
やはり心配していた事があったのか安堵の表情を浮かべ、ビールを仰ぐと席を立つ。
「お前も桃華ちゃんも元気そうで良かったよ。大丈夫かもしれんが、今後も二人仲良くやっててくれよ?」
「そんな事分かってるよ。…もう寝るのか?」
「明日の朝早くにまた仕事に戻らなきゃならないからな。俺はもう寝るけど、宇津も早めに寝とけよー」
そう言って自室に戻り、机の上に空き缶と食べかけのケーキを乗せた皿が残る。
何で明日帰るなんて大事な事を言わなかったんだ、と思ったがいつもの事なので特に気にしない。
時間も遅いしそろそろ俺も寝るべきだろう。残ったケーキを胃に詰め込み皿と空き缶を片付ける。
やり残した事を終わらせ、自室に戻る頃には時計の針は1時手前を差して止まっていた。
ベットに入り電気を消して目を瞑ると親父の言葉を思い出す。
『宇津にあんな美人な友達ができたのも桃華ちゃんのおかげなのかもなぁ』
確かに俺が沙奈と友達と言えるような関係になる事ができたのも桃華が家に来てくれたおかげだった。
外出も以前よりも増えて俺も昔よりも笑っている思い出の方が多くなった気がする。
今の俺は、多分昔の日常に耐えられないだろう。改めて桃華には感謝しないとなと思う。
そのうち感謝の意を込めて何か好きなものでも買ってあげるか、と何を買うか考えようとしたところで意識が落ちた。
帰宅途中で普通じゃない女の子を拾いました 摩擦 @Masa_tsu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。帰宅途中で普通じゃない女の子を拾いましたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます