ep.10

 昨日の桃華からの衝撃的なカミングアウトに頭を悩ませながらも、途中で考えるのがめんどくさくなってベットに飛び込み日曜日。


 昨日の買い物で知らず知らずのうちに自分も疲れていたようで、ぐっすり熟睡していたらしく桃華が起こしに来る。


「宇津さん、起きてください。ご飯もうできましたよ」


 寝ぼけ眼を擦りながら、桃華におはようと言って起きだす。顔洗ってきてくださいね、と眠そうな俺を見て微かに微笑んでいる桃華に言われる。ん、と返事を返して顔を洗いに向かうと、冷たい水道水が眠気を覚ましてくれる。


 リビングへ向かうと日常になってきている桃華が朝食を机に並べていた。テレビを見ながら朝食を食べる。今日の午前は昨日買った家具が届いて、組み立てまでしてくれるらしい。


 朝食を食べ終わり、食器を洗っていると玄関のチャイムが鳴る。テレビを見ていた桃華が対応すると、どうやら家具が届いた様だ。

 家具を桃華の部屋まで運んでもらい組み立てもしてもらう。結構な数があったはずなのだが、1時間弱程で家具すべての組み立てが終わった。桃華に家具の配置を聞いて、一つずつ配置すると次の場所があるので、とすぐに帰っていった。


 桃華の部屋を見ると、元々は何もなかった部屋が白色の家具で統一されていて、清潔感のある部屋へと変わっていた。まだ私物は置かれていないが、桃華も誰にも見られたくない物もあるだろうし、自分の部屋ができてよかった。

 今まで、客間に置いていた私物を部屋まで運び込むと一気に女の子の部屋の様になった。


 いつの間にか、時間は昼を過ぎており少し遅めの昼食をとる。


「そういえば、桃華は勉強できるのか?うちの高校はまぁまぁ偏差値高いし、二年からだと余計に大変だろ」


「うーん、できる気はします」


 少しあたまを悩ませると、そんな曖昧な答えを返す。再来週からはうちの高校に来るんだし、早めに確認はしてた方がいいかもな、と思い午後は桃華の勉強を見ることになった。


 今日届いたばかりの新品の机の上に俺の教科書を広げる。一応獣人は発生時には年相応の知識を持ち合わせているが、個人差がある。勉強ができる場合もできない場合もあるということだ。


 まずは、高1の内容からやっていく。数学の教科書から基本的な問題を出していくと、すらすらと答えを書いてしまう。応用の問題も先程と変わらない速度で解いていて、特に途中で考えている様子はない。


 答え合わせをすると、全て正解で途中式もしっかりと書いている。

 

「しっかり全部解けてるな。しかし、考えている様子がなかったけど、どうやって解いてるんだ?」


「どうやって……えーと、なんとなく数式が頭に浮かんでくる感じです!」


 どうやら、感覚で解いてるらしい。他の教科も同じくらい解けていて、ほとんど間違いがない。正直、自分もわからない応用の部分

部分を、すらすらと解いてるいるのでこちらが勉強を教えてもらいたいくらいだ。


 ほぼ全問をノーミスで解いた桃華を素直に天才だな。と褒めるとえっへんと女性らしさのある胸を張ってドヤ顔を浮かべている。


 これなら大丈夫そうだな、と思い勉強会をお開きにしようとすると、桃華からストップがはいる。


 どうやら自分の限界を知りたいらしく、なんなら桃華が俺に勉強を教えたいらしい。


 手元には高2の内容までしかないため、スマホで問題を探しながら桃華の限界を確認していく。


 結果、桃華は高3の内容まで完璧に分かっていた。基本の5教科は特にあたっている。流石にここまでとは思っていなかった。

 当の本人は、これで宇津さんに勉強を教えられますね!と意気込んでいる。


 今のところ、桃華に勝てる物が何もない。家事はやってもらっているし、掃除も桃華はできるし……


 自分にため息をつく。せめて、運動は勝てる様にしないなと思い、明日から筋トレ始めようかな、と考え出すのであった。







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