第8話ドワーフ

「鉄…!」

それを聞いたドワーフ達の目の色が変わった。

先ほどまで優しい目をしていたのだが、今は、とてつもなく厳しい目をしている。

地雷を踏んだのか…?その目には、明らかに、怒りの炎が灯っていた。

「そうよ♥」

そんなことに気づかないラスモキは、続ける。

「鉄をちょうだい♥良祐とマルクルが欲しがってるの♥」

ヤバい…これは、かーなりヤバいッ…!

「鉄、か…!貴様らにくれてやる鉄など無いわ!!」


光り輝く人が一人。否、語弊があるだろうか?厳密に言えば、人ではない。最も近い表現は、神だ。だが、それも近いというだけで、適当ではない。何故なら、彼女は偉いからだ。彼女は立場が上だからだ。

だからこそ、こうして余暇を楽しんでいる。

人間を転生させる。これは、彼女が最も好むことだ。一人ひとりの一生は、まさに十人十色で、飽きることがないという。

人間の一生は、彼女にとっては、なのだ。人間がいくら過ちを犯そうと、人間がいくら死のうと、彼女にとっては、それもただのお話ストーリー同然のため、ワクワクする事こそあれ、悲しむことはない。ましてや、憐れむことなど永遠にない。彼女は、一人ひとりにフォーカスは当てない。全体像を見るのだ。面白い結果を待ち望んでいるのだ。

彼女には、死という概念すら存在しない。人間の死、というものを、彼女はこう考える。

新しい人間小説が出来る。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る