第15話

〜スナイパー〜


 やっべっ。なんか飛んできた。

 化け物だろアイツ。


 スコープに何かが映る。

 小さい弾丸の群れ? なのか?

 

 とりあえず、俺の視点から見れば、撃ち抜いた左足もろとも解けるように見えた。

「なんで人肉団子も爆発するんだよ」


 あーよーわからん。

 ここのフィールドにはプレイヤーしか居ないはずだろ? なんで妖狐が居るんだよ。


「「スキル「拘束無効」により「浮遊改」の効果を削除しました」」

 えぇ拘束もしてくるんです?

 てか、音もなく打ち出される弾ってなんだよ。

 こえーよ。


 とりま迎撃しますか。

「魔道具「MK4散弾銃」、状態異常回復弾。発射」

 適当に撃った弾が当たったらしく空中で妖狐が現れる。

 だが、速度はそのまま。

 まぁつまり、妖狐がぶっ飛んて行った。

「「MK1拳銃」、S封弾」


 そんな残念な姿で倒れている彼女? 女っぽいし女やろ。そんな奴に銃口を向ける。


 HPの残りは、多分せいぜい一桁だろう。

「なぁ何者だ? お前」

「作業厨ですけど」


 あ、答えるんだ。

「なるほどな。一応プレイヤーで合ってるよな? てか待て、作業厨って。えぇ」

「なんで引いてるんですか」


 這いつくばったまま、そう妖狐は口を利く。


「いやぁ、前回のイベントもそうだったが、行動量っていうのか分らんが量がエグイナって」

 実際、作業厨と名乗った輩とのPVPは骨が折れる。なんか持ってるスキルの数がおかしいってか、何というか。

 とにかくエグイ。


「まぁいいや、とどめ刺しますが良い?」


 まぁ刺すんですが。

 その引き金を引く。

 その動作。

 でも何かがおかしい。


 昇天しない。

 スキルは封じている。

 なぜだ?

 

「痛いなぁ」


 昇天と同時に出る光が灯る。と思えば瞬く間にそれは消える。

 同時にHPも全快している。


「まて、スキル使えないよな? え? もしかして使える?」


「使えないよ。もちろん。だって、体に弾丸入ってるもん」

「だよね?」



~バイオハザード~


 それにしても、あの弾丸、頭おかしいでしょ。

 なんであんな物が存在するんだよ。


 閼伽が使えれば、あんな物、取り出せるんだがね。

 いっその事、空ちゃんにコピペしてもらうか?

 

 ん? 鏡面鱗での付与って状態異常回復で回復しないよね?

 なんか、自分の体を抉って弾丸を取り出したとしてもまた撃たれるのがオチなのは理解している。


 うーん打開策? ないよね流石に。

 てか、今からでも、入れる保険ってあるんですか?! 無いよねー多分。

 もの凄い状況悪い。


 そんな時の発砲音。

 

 とりあえず、何故か常時スキルは使えるので、浮遊で避ける。


 しかし、そんな抵抗は空しく、武器を変えた事により対処された。


~スナイパー~


 MK3。マシンガン。

 流石に避けられないのか、妙に動きが鈍い。

 で、気が狂ったのか、下手に近づいてくる始末。

 そんなこんなで、妖狐は足元でくたばっている。


「てか、やっぱりなんでお前、死なないんだよ?!」

「さぁ?」

「えぇ。そんな事ある? だってスキル封じて、それでいて目立った状態異常もない。はっ?」


 確かに、スキルは封じている。だが、効果を使用している”履歴”だけはある。

 そのスキルをトリガーさせた生物は特定できない。このエリア外か、上か。


 大きく動いた妖狐。

 何処からともなく取り出した短剣で切り付けてきた。


 ダメージはほぼ無い。

 それに自動回復で、穴埋めは完了する。


 乱雑に切り付けてくる妖狐。

 足元をすくい、体制を崩す。

 そんな”弱い”妖狐に銃口を向ける。


「あのぉ。私の負けなんで、逃がしてくれません?」

「得体の知れない者を、そうやすやす逃がしてたまるか」


「ですよねぇ」

「まぁ、何か分るまで雑談位は付き合うぞ?」


「雑談ですか。所で貴方の役職は?」

「え? 策士だが?」


「策士かぁ。なんか強そう」

「そちらは?」


「え? 鷹匠ですが」

「なるほど?」


 鷹匠か。普通よりステータスが低くて、生物を操るらしい。

 会ったことないが、全員こんな奴ばかりだったら嫌だな。

 生成に高コストを要する、S封弾を息のように消費しそう。

 面倒だな。


「で、お兄さんは何故にココまでお強くて?」

「強くないで」


「え?」

「だって、使える弾が三種類だけだぞ?」


「いや、待って。でもスキル封じる弾はヤバくね?」

「実際ヤバい」


「困惑」

「俺も」


「それでも、弱いと?」

「あぁ。ぶっ壊れだよな。お前さんと言い」


「いやぁ私を見てくださいよ。うつ伏せ状態で敵と喋ってるクソ雑魚プレイヤーですよ」

「まぁそうなりそうだな」


「「スキル「履歴」より警告、索敵範囲内でマークされていない生物によるスキルの使用を確認しました。スキル名「チェーンソー」です」」


 面倒くせぇ。あいつらか。


「おい。妖狐。戦闘だ手伝え」

「え? あ、はい」


「見えるか? アイツらキルできるか?」

「ヨユーです」


「は? 本当かよ。あーんー。分った。良いな時間は今から3分。アーティファクト、あーS封弾だ。それの効果を解除する。やってくれ」

「りょーかい」


 妖狐の姿が消えた。砕けるように溶けるように。

 バケモンだなアイツ。

 スキル「閼伽」? なんだそれ。あぁ水龍の固有スキルじみた物か。


 藤軍団。相変わらず強いな。今現状のキル数ランキング一位。


 えぇ。何もないか。


「「スキル「水蒸気爆発」を確認しました」」


 気体になり肺からの経由で血液に侵入。その後そのスキルで血液全体を爆破。


 こえーな。いやこえーな。

 いや、マジでこえーな。


「アーティファクト起動」


 しかし、狐の姿は現れない。そうだった。状態異常か。


 打ち込んだ。効果がない。


 足元にS封弾が転がっている。


 何か、味のする気体を吸い込んだ。

 案の定、体が爆散した。

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メタ(阻害)られたら試合終了です 生焼け海鵜 @gazou_umiu

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