第13話

「キツネさん緊急事態!!」

「なんでそんなに落ち着ているんですか? 僕は結構焦ってるのですが」


「いやぁ、あの水龍、私達の戦法じゃ勝てないから何か無いかなって」

「何かって何なのです。あんなの狐火で一発なのです」


「さて、水龍のスキルをもう一度どうぞ、キツネさん?」

「えっと、固定ダメージ無効なのです。です?!」

「まぁ、同族から言わせてもらえば、あの水龍かなり弱いほうだよ」


「なに? ”あやつは四天王の中でも最弱”的な?」

「そうだね。でも耐性は四天王内で最強」

「つまり? なにが言いたいのです?」


「僕らを殺しに来てるって事さ。いやぁ、参ったね。なんだろう。ここに居る味方生物って、ほとんどが状態異常で特殊勝利ですから」

「どうにかするのです!」

「まぁ私が考えるに、応戦する必要は無いと思うけど」


「逃げれますかね」

「だったらもう、逃げるのです」

「出来るかな。とりあえずセイレーンを殺しておきます」


「セイレーンに手を出したから水龍が怒ったのでは?」


「「水龍との戦闘を開始します。ボス階級7

 フィールドが指定されました。テレポートします」」

「「場所として、海上戦場。フィールド効果により状態異常「水面歩行」を付与します」」


「さーて、キツネさん。きっつい戦いになりますよ。きっと」

「ですね。水上戦となればこっちは難しいのです」

「あれ? お母さんたち何してるの? ってここどこ?」

「強制テレポートだよ青」


「え、あーあー聞こえますか? 水龍です。戦闘開始しますが、大丈夫ですか?」


「大丈夫です」

「主?!」


「では行きます」


「「水龍の姿が確認されました。形として蛇やその類。全長7M。戦闘開始」」


 なんでもいい。勝てばいい。


 ただ、この空間は果てしなく続く水平線。そんな所に隠れる場所なんて存在しない。


 そんな水面に泳ぎ回る大きな影はひとつ。


 ははは勝てないや。


「そこから出てくるのです!!」


 見れば、キツネさんの手は赤熱したように赤くなっている。

 いや、赤熱している。


 ん?


 そんな手を、水面に突っ込む。


「「水蒸気爆発を確認。水龍に多少のダメージを確認」」


 ん? 情報求む。


「「狐火の保有スキル「水蒸気爆発」の効果です」」


 はへー。効果把握です。


「青。武器に変身できない?」

「はいっ! 分かりました」


「「個体名、青を装備しました」」


「スキル「服従」より、狐火保有のスキル「水蒸気爆発」を常時使用」

「「確認しました」」


 とりあえず、水面に剣を突き立ててみる。

 まあ当然、爆発するよね。


「主、大丈夫なのです?」

「ダイジョブダイジョブ」


「「水龍の鱗は防具として処理されます。スレイヤーワイトを使用しますか?」」


「はい」


 水中から、水龍が顔を出した。

 その顔には、多少の傷がある。


 だが、そんな事はお構いなしに口を開いてビームのような物を吐き出してくる。

 多少触れても大丈夫?

「「状態異常「腐食」を確認」」


 えぇ?

 面倒ですねこれ。


「「HPが-50になりました」」


 あーめんどくさい。


「スキル「憑依」使用。6持続ダメ、パ内下解-1人魂回収10かな? 多分。あー面倒くさい! スキル「憑依」を自動使用に設定、使用する効果は全て1!!」

「「設定されました」」


 さて、そうするか。

 なんでもいいぞ。正直。


「私をお忘れで?」


「「星座を召喚しました」」


「私が、糸を使って縛り上げます!」

「あの、拘束無効あるんで駄目です」


「は? マジ?」

「まぁ邪眼でね? ひたすら凝視しててね」


「あ、はい」


 そんな事を知らないかのように、蛇如く牙が飛んでくる。


 ダメージは有るようで無いので気にしないことにした。

 ただ、時間がかかる事が癪に障る。


 飛んでくる頭を避けて、首元を切り付ける事にしたが、これが打開策だときずくことに時間は要さなかった。

 当然、血は出ている。

 無論、水蒸気爆発が発動する。


 そして、非人道的な事すらも思いついた。

 なんとなく、水龍に青の変身している剣を入れ込んだ。

 で、私はこう言った訳さ。”中に入ったら水龍の骨に絡みついて”と。

 

「スキル「憑依」を使用。1と3体入れ替え。まぁ当然、対象は青」


「「実行しました」」


 えーっと。そうだな。

 詠唱が長いが良いか。

「スキル「憑依」の効果で元の体で使っていたスキルを使用します。対象は「服従」。その「服従」より狐火のスキル「水蒸気爆発」を使用します」


 さーて。ショータイム?


 どうやら、青ちゃんは、指示通りに骨に絡みついていた。


 でもねぇ。尻尾の先までなんて言ってないよ?


 つまり。水龍が爆散した。


「えぇ、垂れ星さん。それってありです? 僕は駄目だと思います」


 勝ったのは良いが、竜人がドン引きしていた。


「「戦闘を終了します」」

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