第3話 鬼襲来!?


たーーま やーー!


あれからというもの

何もなくただただ時間が過ぎ5年ピノキオおじいさんは腰を悪くしたみたいだけど

平和に時間は流れています


バンバン

と花火の様な爆発音ばくはつおんがあたりにひびいていた

「死角だから全く見えないけど!想像花火…想像花火…」

「今日はなんだかにぎやかだな~!うん今日も平和!平和!平和が一番!」

ドサッ


「ん?何かが落ちて…」

何かは赤い花火の様に液体をまき散らしながら落ちていた


それは明らかに大きめの手だった

爪が鋭利えいりとがっていて

関節部分かんせつぶぶんは深いしわと人間の腕ほどの太さがあった


「ㇶイッ ハ、ハナビーヵ~、キ、キレイダナァーー オゥェオゥェ」

ホラー系が苦手な僕は叫んでしまう

そんな自分に恥ずかしくなり

平然を装うも反射的はんしゃてきに吐き気が込み上げてくる


「どう考えても手首!どう考えても手首!」

「どう見ても手首!どう見ても手首!」

パニック過ぎて第一印象だいいちいんしょうよりなぜか思考が勝つほどのドーパミンが放出されてしまうほどおどろいた

どう見ても本物!


グチャ…グチャ…

小指と親指が音を立てて痙攣けいれんする

「ゥッうごいた…」

つぶやいたと同時に轟音ごうおんが背後で響く

\ドゴーーーーン/


「”オレ”の…オレの…テ…オレの…テ…」


「今…オレのテって言った…オレのって…ヤバいヤバい…」

ドゴンドゴンと足音が何歩分か聞こえた後

ガッゴッっという足音とは違う鈍い何かがくずれるれる音が聞こえた

その瞬間しゅんかん僕のケツに想像も絶する痛みが走った


「”ウッガアアアアアアアア!!”」

「”ケッ…ケツガアアアアアアアア!!”」


「ス、スマネェ…フラツイテ…ハァハァ…」

「カミ サ マ…シッポ…オッテ…シマッタ…ハァハァ…」


「ゥゥ…許さねぇ!!」

「ウッゥ…お前!ってオ、オニ!!」

まず鬼ということ自体に驚いたがそれ以上に体格に驚いた

人間の4倍はあるかというほどの体

そして極めつけは厳つい顔…

どう生きたらそんなにシワシワになるんだよってほどの眉間のシワ

ギラギラと鋭い目つき

今にも噛みつかれそうな口元のきば


「カミサマ…オコラセタ…ハァハァ…」

「ゴメンナサイ…」


あやまっても痛いもんは痛いんだよぉ!!ゥゥ…」

「お前を命のお供え物にでもしてやろうかぁああああ!!」


「イノチ…ソナエル…ワカッタ…」

ここで何か違和感いわかんを感じた

こいつ僕の言ってること理解りかいしてないか?


「カミサマ…イウコト…ゼッタイ…」

「マモラナイト…ニンゲンモ…ケモノゾクモ…ミンナ…シヌ…」


心臓しんぞうと思われる場所に手をそうとするオニを見てあせ

「ちょちょちょ!お前もおしかして僕の言ってること分かるのか?」

確認だけでもしておきたかった

もし通じるなら動けない体も何か変わるかもしれない…


少し間を開けて鬼はこちらを見て言った

「モチ…ロン…デス…オニハ…カミニツクラレタ…」

「ダカラ…カミノコエ…キコエル…アタリマエ…」


「ㇸッへー、でも鬼って悪いやつじゃん?」

「君は自分の命より人間とかの事先に考えてたけど鬼ってこの世界だとイイ奴なの?」


「オニ…ワルイ…アッテル…デモ…オレ…」

「ニンゲン…タチト…ナカヨク…ナリタイ…」

「オニ…ニンゲン…タベル…」

「タベナクテモ…イキレルノニ…」

「デモ…カミガ…ソウツクッタ・・・」


「神がねぇ~変な神もいたもんだなぁ~」


「アナタ…オニツクッタ…ソウオシエラレタ…」


「え、」

衝撃的しょうげきてきな発言と全く身に覚えのないぎぬを着せられてる驚きに震えた

「僕は作ってないよ?」


「コノセカイ…カミヒトリ…」

「アナタダケ…」


「マジか…」

なんか聞いておいてあれだけど…

めんどくせぇなぁ…話変えるか…

「ところでその右手首…グロォ…どうしたん?」


「ニンゲンニ…タイホウ…ウタレタ…」


「ほう、ほう大砲ねぇ~」

大砲…大砲…

「は?」


「カミサマ…タイホウ…シラナイ…ハァハァ…」


「そこまで情弱じょうじゃくじゃないわ!」

「それより、お前息が荒くなって」


「カミサマ…オレモウ…」

「サイゴノネガイ…キイテホシイ…」


「おい!しっかりしろよ!」


「オレ…ニンゲントハナシガしたいよ…」

「人間と仲良くなりたかった」


「オニの君が今話している神様は元人間なんだ」

「君の夢はもう叶っているから安心しろって生きろぉおお!!」


「そうなのか…よかった…よかった…」

「なら一つ叶ってない夢があるんだ…」

「俺人間の町の記憶があるんだ…」

「それが今どうなっているのか…見て回りたい…」

「神様…俺を連れて行って…」


「ッ・・・」

僕はしばらく黙ってしまった


なんてやつなんだ…

人間と仲良くなりたいだけなのに

人間に大砲なんて撃ち込まれて

それでも人間をうらむどころか人間にまだ近づきたいだなんて…


「分かった引き受けよう君に必ず…人間の景色を見せてやる…」



…アリガトウ…



オニは安心した顔のまま

紫と白い光に包まれ

その光は僕ごと巻き込んでうずを巻いた


そこからの記憶はあいまいだ…





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る