第2話 僕って石なん?


おばぁちゃん食べられた事件から何ヵ月たっただろうか

それからは特に何もなく平和であった



今日は中年くらいのおじさんがやってきたみたいだ

「神様も大変ですね~鳥のふんなんて付けちゃって」

いや~、いつも体洗ってもらちゃってー

ありがたやーありがたやー

あ!そこ!もう少し上!

あ!そこそこ!

「今日は村の井戸水で申し訳ない…私もそろそろ山を登るのは限界みたいで清められた水はキツくて、ははっ…」

水は水だから変わらん変わらん!

気にすんな


このおじさんは僕のことをよく洗浄せんじょうしてくれるいい奴!

多分ココの管理かんりをしている人だろう

でも、この人も人間かって言われたら人間じゃないみたい…

なんかピノキオほどじゃないけどはなが長いし目はなんかすんごいするどいっていうか

まぁ多分ヒューマンではないことは確かかな…

完全な人間もいたしなぁ

食べられたけど…



初めて目が見えて、音が聞こえて、痛覚が感じられるようになったあの日

それから時間もかなり経ったから、いろいろ分かってきたこともある


この世界は何種族なんしゅぞく知的生物ちてきせいぶつが存在するらしく

今までお供え物をくれた人や散歩をしている人が明らかに他種族たしゅぞくであることから、それは理解できたんだけど


まずヒューマン

一番最初に出会った食べられたおばぁちゃんが印象的いんしょうてきかな


その次に鬼

おばぁちゃんを連れて行ったあの姿は紛れもなく鬼だったと思う


3つ目は獣人じゅうじん

大まかに獣人ってまとめたけど、ライオンやらウサギやらいろんな獣人がここをランニングスポットとしているようだ


そして今背中を流してくれているピノキオ族?

これは亜人あじん異人いじん?になるのかな

ヒューマンにとても似ているが何かがヒューマンとは違う存在


今のところこの4種しか確認できてないけど多種族が同じ領域りょういきで生活しているのは確からしい

その証拠に今道の端でヒューマンと獣人が世間話をしている



そして次に僕の体についてなんだけど

僕は現在考えることはできても動けない体をしてる

痛覚があるので大体の体の構造こうぞうは体を洗ってもらう時に理解できた、

”完全に僕、人間じゃねぇ!”


しっぽまで生えているような感覚

僕はいったい何になったって言うんだよ…

これは夢なんじゃないかって時々思うけど痛みがそうとは言ってくれない

子供が僕を的にして投げて来た石が当たれば強烈きょうれつに痛い

体が石のように固いせいで石がぶつかれは肌がえぐられ、衝撃が腸内に響く感覚

ナメクジ見たいなスライムが体をえばもう体験したくないほどの悪寒おかんを感じる


僕はマジで石にでも転生しちまったのか


明らかにピノキオおじさんの態度がそれだよ

僕が前世おばぁちゃんの墓を掃除してる時のそれだよ

やってんなぁ…

お墓掃除なんてしてなけりゃ希望もあっただろうに

墓掃除の経験を悔やむことなんてそうそうないぞ!



そうこう考えてるうちに

僕の体は綺麗きれいになり

ピノキオおじさんは最後にお手を合わせて、去っていった



これだよ…

おてて合わせちゃてるよ…





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