美しい世界で繰り広げられるのは、凄惨な陰謀劇。

幼いある日のこと、秘密基地で出会ったのは星の姫と、のちの騎士となる者。二人が紡いだ絆は、やがて国を、世界を揺るがしてゆく。

…というあらすじから想像できるような甘い展開は、作者様が念押ししておられるように、あまり期待しない方がいいかもしれません。ただし、必ずしも運命に祝福されているとは言いにくい二人だからこそ、互いを認め合い、得がたい信頼で結ばれていることは疑いの余地がないと思われます。

第二幕終盤でついに明かされた出生の秘密を受け入れ、乗り越えてなお、二人の苦難は続きます。エレナさんは地位ゆえの重責に、ヴァンさんは長らく言及のあった「内なる怪物」に苛まれ、心までが離れてしまったとは思いたくないですが、しかし……。

簒奪王とは果たして、話の流れで出たあの方なのか? 星の姫を待ち受ける未来とは? 先の気になる展開を、ぜひ読み進めてください。

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簒奪王と星の姫

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