第7話 海鼠伝説

紀元前705年、大いなる神「シーキュ・カンバー」により海に生命のタマゴが産み落とされた。タマゴはやがて次々に孵化し、鮮やかな色のナマコ達が誕生した。ナマコ達は時代の流れによって進化し、ニンゲンを生み出したと言われている。


さて、この出来事は最早義務教育で習う範囲なので誰でも知っている事だろう。しかし経典「シーキュ・カンバーの伝説」には「語られない真実」がある。


それはズバリ―地球を作り出したのは紛れもないシーキュ・カンバーだという真実だ。

これを聞いた読者は鼻で笑うだろう。地球はビックバンにより生まれたという定説を信じて疑わないからだ。しかしそれは誤りである。


これより先は紛れも無い「真実」である。

脳味噌まで海鼠に染まっていない読者は、ここで立ち去ることをオススメする。




まず、我等がナマコの神、シーキュ・カンバーはビックバンと共に無から出現した。無の荒涼さを嘆かわしく思った我が主はまず、地球より先に火星を作り上げた。火星に自身の精巧なるコピーとなる海鼠を作ろうとした。しかしこの計画は失敗に終わった。何故か?当時の火星が完全な「球体」であったからである。主はこの失敗を生かし、地球を海鼠と同じ楕円形に造り上げた。地球が完全な球体の形を成していないのは、これが所以である。楕円形の地球に海を造り上げ、そこに海鼠達を造ると、海鼠達は元気に動き始めた。要するに神が地球に対して受胎告知を行った年月こそ、紀元前705年(ナマコ年と覚えよう!)である。


さて、筆者の提唱する妄想.......もとい真なる事実に驚愕している事だろう。


だが、断言する。

これが世界の真実である。


海鼠を崇め、奉れば、世界の真理が見えてくる。

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