第7話ダンジョンで泊まろう




丁度挟まれる形で、フローディアが両方の通路から迫ってくる。


「ピーとスラとライムは向こうのフローディアをやっつけろ。キーは俺と一緒にこっちをやっつけるぞ」


二手に別れて、俺らが戦うフローディア5体に俺の【黒球】が命中して1体が消滅。

次のフローディアに狙いを定めて発射。

そのフローディアが消滅した隣では、キーがフローディアに抱きつき電撃を放出。

フローディアの体に亀裂が走り、湯気をだしながら倒れた。

俺は一番奥のフローディアを【黒球】で消滅させると、残ったフローディアにキーが跳び付き電撃を放つ。


倒れた所に行くと、木の実カード1枚とフローディアカード1枚があった。

絵柄はフローディアそのもので、待望のカードを手に入れた。

このカードも10枚を揃えたい。

しばらくは4階層で戦い続けようと思った。


スライムらはレベルを上げる度に、強さが増している。

キーは10体倒してレベル3になった時から、攻撃方法が急に変わってしまった。

キーは遠くから雷撃を落とすようになり、スラをフローディアへ近づけさせると巻き添えになりそうで、今は俺のそばで待機中。


フローディアが1体になった時だけ、他のスライムの攻撃を止めてスラに戦わせている。

そしてついにスラが光り、丁度レベル10になった。

スラの体は更に透明度が増して、止まっているとその存在が見えなくなる程だ。

そして遠距離攻撃が出来る様になった。

何かを発射してフローディアに当たると、急激にフローディアの体が枯れだし、もがきながら朽果てている。

透明な針を発射している様で、どうやらその針自体が猛毒でかすり傷でも効果を発揮する程だった。


スラ以外はまだレベル9からレベル3で、まだ時間が掛かりそうだが期待も膨らむ。


腕時計の時間は18時を過ぎようとしている。

5階層につながる階段へ、最短ルートで向かうことにする。

多分、フローディアを倒しながら行く為、2時間は掛かるだろう。



やはり思っていた通りに、20時半頃に階段へ到着。

階段を下りて、ようやく防毒マスクを外すことができた。

今日、泊まる場所が階段近くで、魔物が寄り付かない安全地帯。

なので人気ダンジョンでは、前もって予約申請していないと泊まることも出来ない。

そして通常通路近くのパーティーが、交代で見張りをするらしいが、俺はスライム達に任せるので楽だ。


ピーとキーが階段を上がってゆくので、急ぎ防毒マスクを掴み追いかける。

どうやらこの2匹は、フローディアをまだ倒したいらしい。

なだめてみたがダメで、仕方ないと諦める。


「気が済んだら戻って来るんだぞ」


分かったと2匹は跳びはねた。

そして通路に向かって跳びはねて行ってしまう。

見守っている俺を残して姿も見えなくなった。


階段を下りると、スラとライムがポツンと残って俺を見ている。


「お前らは、見張りを任せるから、俺を守ってくれよ」


分かったと体を震わせて返事をする2匹は可愛く思う。


2匹に見守られながら、準備に取り掛かる。

エアーマットを地面にひくと、頭部の空気弁を閉めて足元の弁を開らく。

膨らみ部分を足踏みすると、マットに空気が入り徐々に膨らみいい固さになってきた。

足踏み式空気入れが内蔵されたエアーマットで、便利な機能だと感心してしまう。


弁を閉めて手で触り感触を確認。そして寝てみた感じも凄くいい。

これならぐっすり寝る事が出来る。


スマホのアラームをセットして、充電器につなげて頭付近において準備万端。

2リットルの水も残りあとわずかになって心細い気がする。

食べかけの携帯食を食べ終わると、ペットボトルを両手で掴み、ゴクゴクと飲み尽くす。


ゴミとなったペットボトルを階段の方へ投げ捨てた。

ダンジョン内では、12時間も動かない状態で物が放置されると、ダンジョンに吸収される。

それは死んだ人間も同じで、パーティー内で死人がでた場合。

揉める事になる。放置されると死体は消えてしまう。

仲間を思って担いで運べば、戦力が落ちたパーティーに更なる不幸が襲う場合も多い。

その為に事前に約束が交わされ、その約束は守られる事になる。

それは、パーティー申請された時にギルドにも申請される。

約束が守られない場合は、ギルド警察が介入して捜査をする。

そして調べた結果をギルド検察に送られる。

裁判にかけるかどうかをギルド検察が決める。

裁判になった場合は、状況を吟味されて判決が下される。


守れなかった者は、出来るだけ守れない証拠をスマホで撮る必要があった。

証拠がない事で不利な扱いになるケースも多い。


なのでスマホは必需品。

何故このように厳しいか、ダンジョン発生当初は無法地帯の状態で、弱い者は死に強い者が好きな様にしていた。

ギルドが設立した事で、ダンジョン法が施行された。


横になると、疲れていたのだろう。

まぶたが急に重たくなり、そのまますやすやと寝てしまう。



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