第6話

 オークエンペラー。


 オークたちの頂点に立つ存在。


 体格も感じる魔力量も他のオークとは一線を画する。


 オークエンペラーともなれば単体で異世界の強者とタメを張れる強さなのだ。


 そしてオークエンペラーのやばいところはその強さではない。


 王としての力である。


 自分に付き従うオークの力を倍増させ、限界を超えて力を引き上げる。


 その中にはオークとして進化し、ハイオークやオークナイツのような上位種にすら届く個体も存在するのだ。


 その脅威は計り知れない。


 実際に異世界では大国一つ飲み込んでしまうとすら言われていたのだ。


 僕も実際に戦ったことがあるのだが、めちゃくちゃ強かった。


 いったい何度僕が死んだことか。


 まだレベルも上がっておらず、上位種に進化した個体も少ないのでなんとかなりそうではある。


 これで放置されていて勢力を拡大していたとしたら……。


 僕が負けることはないが、周りへの被害は甚大なことになっていただろう。


 確実にここら一帯はオークに飲まれていただろう。


 そんなことを僕が考えている間に自衛隊の人たちは銃を構えだした。


 そして、斉射。


 オーク達に銃弾の雨が襲った。


 だが、悲しいくらいに届かない。


 オークたちに届いた様子はなく、平然としている。


 そして、オークたちは一斉に走り出す。


「や、やばいんじゃ!?」


 段々と距離が近づいてきて、大型ショッピングの様子がなんとか見えるようになったお嬢さんが叫ぶ。


「うん。かなりやばい。飛ばす」


 僕は更に足を早くする。


 そして、魔法の発動の準備に入る。


「『吠えろ、そして守れ。炎獅子』」


 僕が魔法を唱えると一匹の炎の獅子が姿を現す。


「ほい」


 そして炎獅子を転移させる。


 最初からこうしておけばよかった。


「な、何あれ!?」


「魔法だよ」


 炎獅子はオークたちに襲いかかり、自衛隊の人たちを守る。


 突然の出来事に自衛隊の人たちは困惑し、戸惑っているようだ。


 まぁそうだよね。


 僕も初めて魔法を見たときは固まったよ。


 そのあとめちゃくちゃテンション上がったけど。


「遅くなりました」


 そしてその後すぐに僕も辿り着く。


「え?は?」


 空から降ってきた僕を見て自衛隊の人たちの困惑はピークに達する。


「お嬢さんをお任せしますよ」


 僕はそんな自衛隊の人たちにお嬢さんを渡す。


「あ、あぁ!俺たちの仕事は市民を守ることですから!」


「それはよかった」


 はぁー、立派な人達だな。こんな状況でもちゃんと答えられんだ。


 これなら任せても平気だな。


 炎獅子に彼女らを守るように命令を下す。


「【傲慢の権限:聖典:神刀】」


 そして僕は自身の愛刀を取り出す。


 木の枝じゃないちゃんとした武器だ。


「輝け、聖剣」


 ユニークスキル【聖剣】も発動し、準備は満タン。


「さぁ、フィナーレだ。最初からね」

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