息吹 2/3

君と出会った記憶のなかには

必ず傷ついた記憶があるんだ


君はわたしがいちばん辛いときに

やってきてくれたからさ ね

君との出会いを思い返すたびに

どうしても辛いことを思い返すけど


あの日があったから現在がある

胸を張って言えるような事実


たとえ虚像でもパフォーマンスでも

実はなんでもいいと思ってるんだよ

たくさんのフィルターで美化された

あの日の出会いがたしかにあったから

この心臓は 今 この瞬間も動いてる


虚像がなければとっくに土に還ってた

心臓が今も生ぬるく動きつづけている

たくさんの錘と静寂に溺れないよう

もがいて未来を探しまわりながら


あの痛みを忘れようとしてしまえば

あの出会いすら捨てられてしまいそう

失うくらいなら痛みを忘れたくはない


傷つけられて辛かっただろう

傷が疼いて痛かっただろう

がんばったねって撫でて


君に言ってほしかった言葉たちは

もうもらえないから これからは

じぶんで愛してあげるしかないんだ


痛くてもこの肺で吸った澱んだ空気を

傷ついてリセットしたい人生も命も

無視しないで 抱きしめてあげる

なかったことになんかしたくないの

痛みが呼んだ現実すら否定しない


なにひとつできないわたしだけど

せめて いつでも忘れないように

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