はじまり、はじけて


注がれてからしばらくたって

グラスの中で小さな泡が

弾けて消えてなくなって

そんな炭酸水みたいな夏が

終わっていく日々に思うこと


毎日何かしら何かがあって

きっと誰かが苦しくて

きっと誰かが幸せで

そんな見えないどこかに誰かが

変わらぬ日々を過ごしてて

特別なことじゃなくていい

小さな小さな泡ひとつが弾けるような

心の中が弾けるような

そんな些細な気持ちが欲しいの


私とあなたの出会いはきっと

自分で思うよりもありふれていて

だけどそんな出会いでも

重なった月日と思い出が

今日の私を作っているの

君もそうだといいなと思う


あなたにとって私との出会いは

もしかしたら意識もしてないくらい

ありふれていたのかもしれないけど

私が思いを向けた分だけ

あなたの日々は素敵になったかな


烏滸がましくても願っていさせて

重ねた鼓動がひとつになって

あなたをわかった気になって

そんな小さな自惚れをしながら

それぞれこの道歩んできたよね


出会わなかったあの日に戻るなんて

もうできないよ 忘れられないもの

出会った夏がまたひとつすぎて

私はこの夏をまた心にひとつしまうの

これもあなたとの思い出になるから


だから信じていてほしい

ここからずっと祈ってるの

あなたの幸せを祈っているの

遠い夏の向こうから

いまだにあなたの幸せを祈る私を

信じてそのまま生きていて欲しいの


起きてる時も夢の中でも

ずっと思いは重なって

鼓動もひとつに重なって

同じ今日を生きていること

小さな泡が弾けるように

最後の日までそうあることを

泣いてしまいそうなときには

それ以上の笑顔になるよ


あなたが教えてくれたよね

そんな優しい気持ちと想いを


この夏が終わったら、

夏の終わりがはじまって

そうして時は巡りゆく


変わらぬ想いは空に弾けて

あなたを照らす光のひとつに

なれたらいいなと思ってる

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