第10話 魅力2 なぜ、同級生や後輩が評価したのか?

 さて、ここで一つ、みのりん小説がなぜ同級生のクラスメイト達や後に後輩のまなつたちの心をつかめたのか、この点について論じてみましょう。


 この原稿を書いていくにあたって私は、今回のプリキュアを評論している複数のサイトはもとより、東映アニメーションの公式サイトなども参考にすべく読んで参りました。それによって、できる限り「みのりん小説」の内容が明らかになるよう、情報を得て参った次第ですが、それをもとに、述べさせていただく。

 主人公は、人魚姫と王子様ではなく、ティーンエイジになったばかりの人魚と人間の少女。何でも、果物を食いつくすやからをやっつけよう、伝説のパパイアは守るぞ、というコンセプト。

 なるほど、ティーンエイジの女子二人か。


 ということは、最初に読んだクラスメイト諸君や少し時間は遅れるがその存在を知って読むこととなったまなつ君たちにとっては、ほぼ同世代の主人公たちということになる。確かに一人は「人魚」という設定なのだが、そうであるがゆえに、むしろこの物語の同質性=うちわ(内輪)感を退け、世界を広げていく役目を負うことになっているという効果もあるだろうね。

 というわけで、何が一番のポイントとなるかというと、幸か不幸か読者となってくれたのは、同世代の女子たちということになるね。

 女子中学生。今のみのりんと同じ属性の子たち。

 人魚と人間の違いこそあれ、その子たちに近い存在の主人公たちだからこそ、彼女たちは、感情移入が容易にできたのであると思われる。

 だからこそ、まなつ君は「続きが読みたい!」と、強烈に続編への希望を出したわけさ。


 ただ、この手の小説というのは、そうでない属性の者にとっては、そう読みたいと思わないシロモノでもあるのよね。

 例えば、みのりんからしてみれば親よりいささか年上にあたる私のような50代に入ってしまったおっさん。

 まあその、セーラームーンに始まって、今やプリキュアを張り切って観ているではないかとご指摘の向きもあろうけどさ、それはむしろ例外的なもの。

 じゃあ、女子中学生の書く小説なんかを私が読むかと言ったら、実は、読まないのが普通よ。もっとも、何か用事があれば話は別だがな。

 では私の小説について。

 みのりんはひょっと読むかもしれんけど、少なくともまなつ君が読むかと言ったら、そりゃ、文字は追うだろうけど、よう読まんと思うぞ。というか、読み切れるわけもなかろう。別に彼女を馬鹿にして言っているのではない。そもそもにおいて、著者である私が、読者として10代の女子中高生をターゲットとして想定していないからさ。最低でも大学生以上を想定しているからね。

 メインターゲットはむしろ、私の同世代かそれより上の人だよ。

 例えばだな、スタートゥインクルプリキュアのキュアセレーネのまどかさんの御尊父の香具矢冬樹氏が、みのりんの小説を読むの、想像できるか? 

 まあ、ひかる君の御尊父である星名陽一氏なら、読んでくれて、「キラヤバ!」と評してくれるかもしれん。でも意外と、「キラヤバが足りんな(苦笑)」なんて言われる気もするが、気のせいでもないかもね(苦笑)。


 とまあ、いろいろ書いてきたけどさ、要はだな、みのりんは、自分の小説を読んでほしい読者をきちんと意識できているのではないかということが、今回のポイント。まあその、あおぞら中学校の文芸部の会誌に掲載する文章であることがわかっているからこそ、同世代の女子生徒に読んでほしいと思っているものと思われる。

 まあその、「あざとさ(さんご君の「ぶりっ子」ぶりがよくこのように表現されているね~苦笑)」とか「さもしさ」といったところからそんなことを考えているのではなく、心から、同世代の女子たち(男子は、あまり想定してなさそうだな)、まあ、その前後も含めてということになろうけど、そこらに読んでほしいという意識が、きちんとできていたのではないか。

 というのは、親馬鹿にして買い被りかもしれんけど。

 でもまあ、そんな意識がなくたって、十分、そういう結果になるであろうことぐらいは、予見できていたとは思われるね。


 小説もまた、ラーメンやカレーの味と一緒でね、誰もに読んでもらえるようなものを作ろうと思ったら、かえって、誰にも読んでもらえないものなのよ。

 言うまでもないけど、この「マーメイド物語」なる小説が、みのりんパパ? のわしや香具矢冬樹氏(彼と娘の回で、アポロ11号の英文が授業で扱われていたが、これから察するに、彼は1969年生れ、となれば、私と同い年で同級生となる可能性が高いってことになる)のようないい歳のおじさんでしかもインテリ(わしがそうとは言わんけど~苦笑)な人らなんかに読んでもらおうと思って書いたりでもしたら、そりゃ、失敗するって、たいていの場合。

 ~まあそれでも、「ジジ殺し」的な作戦もなくはないのだが、それはまた別の話。


 ついでに申しておくと、この一連の論評で私がプロ野球ネタ、それも自分が生まれる前のものも結構な割合で紹介しているのは、ある意味、私の属性を明確にするためのもの、なのよね。毎週日曜日には「プリキュアに亡命」なんてあちこちで書いているのも、その一環です。

 でななぜプリキュアを観ているのかというと・・・、まあ、楽しめるアニメだからというのもあるのだけど、私らのような大の大人の男でも、この世界を観ることで、ホンマ、学べるものが多いからなのよ。私なんかの場合は、本来の視聴層とは全く違う層ではあるけど、登場人物には、自分の同世代や親世代も、プリキュアになる子の両親や祖父母、あるいはその周囲の大人という形で出てきますからね、そういうところの人とのつながりとか彼(彼女)らの言動とか、そういったものから学べることが、多いのよ。

 だから欠かさず見ているのです。


 ともあれ、みのりん小説というのは、メイン読者をきちんと絞れているということは、間違いない。それも、かなり明確に、ね。

 だからこそ、そのメイン読者にあたる同級生や後輩たちが、評価したのだ!


 では、酷評したあのドリームキラーの「先輩」ってのは、どうなのか?

 それはおって、論じて参りたい。

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