第十三回 ……そして、鏡の中には。


 ――映っているの。


 私の素顔、ありのままの姿を。浴室の中で、何もかも包み隠さずに。

 裸の私……全裸で。


 ここが、私が私でいられる場所?


 ……ううん、鏡に映るものは皆、左右対称……もしかしたら、天邪鬼に映っているのかもしれないの。王妃と白雪姫の関係も、新解釈ならば、ソックリでも正反対となる。


 ならば何故なにゆえ梨花りか千佳ちかは仲が良かったのか?


 この二人も、同じ性格とは有り得ず、好き嫌いも異なれば、得意も趣味も全然と言っていいほど違う。嫉妬もあれば喧嘩することだって……あったらしいの。


 まるで鏡のよう……


 だけれど、お互いが映し出されるから、……それが魔法の鏡ならば、嫉妬の心も映し出されて、その対象が美しいとされている。嫉妬は、ある意味では羨むから現れるの。


 そして明日は、遂にその日。


 学芸会の当日となる。だからこそ、今この時に『新解釈の白雪姫』は完成を迎える。復帰したアカウントを用いて、私はまた、とある小説サイトの『書くと読む』で、執筆をしていた。そして千林せんばやし君たちが執筆している作品に、敬意を込めて拝読する。それは私と同じで、どの作品にも、作者の愛と思いが込められているから、軽い気持ちになれない。


 そして私は、言ったの。


 今日の学芸会に備えての稽古が終わって……終わってから、吹雪く帰り道で、木枯らしの中で二人きりになって、「責任取ってね」と。


 すると千林君は深く……息を吐いてから、「出雲いずもさえよければ、俺は逃げないから」


「そう思うんだったら、二度とあんなことしないで、ストレート一本勝負だから……」


「じゃあ、お前……」


「まあまあ、その答えは明日、学芸会が終わってからだよ」


 鏡から始まる物語は、誰にも予測できない新解釈で進められる。この二人は新章へ。


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