第8話 虹

まあるくかかる虹の階段を昇る夢を見た

まあるいのでどうしても階段は螺旋階段で

昇れば昇るほど降りることになる

ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。


まあるくかかる虹の階段を

降りているうちに私は

アイスコーヒーが用意されたアンティークチェアとテーブルに当たる

そこでいっぷくウェイターがやってきて

虹のドリンクはいかがですか

と、こう言う

それでまた思い出した私は

まあるくかかった虹の階段を

降りて昇っての繰り返し

逆さまになったり右往左往しながらようやく着いたのは

ベッドの上のリアルタイムに出現した真夜中だった


カーテンを開けても虹などなく 階段は螺旋でないものがマンションに二つ

虹はどんな色だったけかとメモ帳を開いて

鉛筆が丸まっていたのでナイフで削って

私はそれでアイスコーヒーと不思議なウェイターを思い出す

「虹のドリンクを飲めばよかったなあ」

つぶやいてもう二度とは出てこない虹の階段を見たいがために

ベッドに寝っ転がってそのまま眠りについた

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