第26話 予知

2022年10月16日 日曜日


昨日のブレスト以降、洸一が知性について考えている間、陽一は予知能力について考えていた。


古来人間は、未来を予知できる力を求めてきた。


例えば、真偽のほどはわからないが、マヤの予言書は大震災がいつ起きるかなどを示し、現地メキシコでは2012年の「最後の日」に向けて世界終末時計が作られたらしい。


もし将来が見えるのだとしたら、それが災厄であれば避けるべく人間は努力するだろう。それが小惑星衝突のようなELE(extinction level event、人類・生物が絶滅する規模の事象)であったとしても、ハリウッド映画のように、それに立ち向かうヒーロー達が現れるかもしれない。


フォーチュンテラーなどと言うと、今ではオカルト番組やオカルト本でしかお目にかかることは無いが、陽一はあらためて予知能力というのも究極の能力の一つではないかと真面目に考えてみている。


オカルト番組のように、あらゆることを予知できるというのではなく、明確な因果関係を以てほとんどの事が起きるのであれば、原因となる事柄を正確に把握し、分析することによって予測することは現代では常に行われている。天気予報もそうだし、株の取引や医者の診断もそうである。


歴史を研究するのも、研究者の好奇心を満足させる意味はあるにせよ、歴史という学問の目的は将来を予測するためだ。温故知新ということもある。


現時点でのAIとかビッグデータなどが扱うのは膨大なデータだが、そのデータは如何に最新のものでも既に過去を示すものに過ぎない。しかし、それを大量に高速に分析することによって、ほとんどリアルタイムで「予測」することはすでに行われている。たとえばコンビニでいつ何が売れるか、など。


人間はコンピュータやインターネットの真価により以前よりはるかに多くの情報を簡単に入手できるようになっているし、これからの人間はそれらを駆使し、自らの脳をフルに活用することによって、自分の能力を拡張し、様々なことを予知できるようになるのではないか、というのはITの世界で言われてきたことだが、フルにITを活用できる脳がなければ成立しない。


あくまでも仮説だが、陽一はそのような脳とはどのようなものなのか。いわゆるデジタルネイティブとは人類の進化系なのか。自分はどうすればなれるのか、を考え始めていた。


ノストラダムスの予言とか、

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