第15話 霹靂

2022年10月3日月曜日


洸一は普段どおり8:30に出社し会社のメールを確認した。


スマホでも会社のメールは見れるのだが、休みの日はデジタルデトックスも兼ねなるべく確認しないようにしている。

ほんとに緊急の要件があればショートメールか電話が来る。


開発部長からだ。プロジェクトの定例後に少し話をしたいので30分時間をとってほしいとのこと。


定例が終わってから開発部長と洸一は会議室に残り、一息ついたところで開発部長が切り出した。


(君にそろそろ伝えなければならないことがあるんだ)


一体あらたまって何なんだろう。洸一には見当がつかなかった。会社の業績も、また洸一の仕事も順調だし、注意や叱責を受けるような覚えはまったくない。


(君も早かれ遅かれこれは知ることになるので、どのタイミングで言おうと思っていたんだが、プロジェクトがひとつマイルストーンを達成したし、二人の生活にも慣れてきたようなので今日伝えることにした)


ずいぶんともったいぶっているな。それほど重大な事項なのだろう。


(単刀直入に言おう。複製人間なのは陽一君ではなくて洸一君なんだ)


!!!!


何かが洸一の中で崩れ落ちた。おそらく顔面は蒼白になっているはずだ。心拍数も190を超えている。


・・・・・


「洸一、洸一、おきろー」


「んんんん?えっ?あっ夢だったのか・・・」


「またうなされてたんだね。もう大丈夫」


しかし、これまで考えてもみなかった考えが浮かんでしまった。最も認めたくない可能性を、無意識下の自分が教えてくれるとは。


そしてその可能性がいずれのものであるにせよ、洸一にとっては霹靂以外の何物でもなかった。

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