番外編 美空ちゃんとドキドキお泊まり会

木曜日


美妃奈side

「みーいなちゃんっ♪」

「ん?」

「この前はごめんね、、まさかあんなに傷つくなんて思ってなくて、、」

「いいよ〜、べつに!それで、なにかいい事でもあったー?」


“この前”とは、文化祭をダブルデートと言われてはるるんと付き合う付き合わない騒動になったことだと思う。


「うーんと、もし良かったら私と一緒に文化祭で浴衣着てくれないかなーって、、」

……

着たい!!!

全然考えてなかったけど。

そっか!

はるるんに浴衣姿みせるチャンス!!

けど、、

「着たい!!けど私浴衣持ってないから……」

「そ、その事なんだけどさ、」

「うん」

「私の家浴衣余ってるし、着付けとかも一緒にしたいから私の家でお泊まり会しない?」

「え!!」

楽しそう!!

「南くんと海翔くんにも言ってみたんだけど、『いいじゃん!それなら俺たちは春翔の家で泊まるよ。』って言ってたし」

そっか、ならいいのかな?

けど私……

また“発作”起きたらどうしよう。

ま、はるるんと住んでる時点でって感じか!


「じゃあ、良ければ行きたい!いつくらい?」

もう文化祭まであと3日。

やるとしたら今日か明日かな……?

「えと、着付けしてそのまま南くんの家で合流→文化祭の予定だったから明日かな。私の家は全然大丈夫!お父様もお母様も帰ってこないし。」

ん、?美空ちゃんって親のこと様付けで読んでるのかな?

まぁ、そういう所もある……?のかな。

「そっか、じゃあ今日帰ってからすぐ準備する!楽しみにしてるね〜」

「うん!持ち物は要らないよ〜、学校からそのまま来てくれれば。」

「え、そんなの悪いよぉ……」

何も無かったらどうしようもないよね?

菓子折りとか持ってかなきゃだし。

「言ったじゃん、親いないって。別に遠慮しなくていいよ!パジャマとかも貸すし」

ここまで言ってくれるなら甘えなきゃ、逆に失礼だよね!

「ありがと!お言葉に甘えるね」

「うん、!楽しみだね!」



「ふんふふーん♪明日は〜美空ちゃん家でお泊まり〜♪」

「楽しそうだな、美妃奈」

「うん!すっごく楽しみ!」

そういうはるるんもあちこち部屋を片付けながらも、口笛で軽快な曲を奏でている。

いいなぁ、私口笛吹けないのに……

まぁ、それは置いといて。

「はるるん、私どこ片付ければいい?」

「んー、美妃奈の部屋には海翔入れないからリビングかな?けど、別に手伝わなくてもいいよー」

「ううん!んー、じゃあテーブル周りやっとくね、」

「うん、ありがと」

あー、明日が楽しみだなぁ……初めての友達とのお泊まり会!



金曜日


楽しみすぎて早く起きちゃった!

普通に授業はあるけどいつもよりちょっと凝った髪型にしちゃおー!

えーと、うーんと……

そうだ!編み込みしてみよ!

三つ編みはできるんだけど、編み込みとなると時間がかかるからあんまりやらないんだよね……

一生懸命鏡をみながら形を整えて編んでいく。

「で、できた……っ!」

「はるるーん!!」

「むにゃ……なぁに、美妃奈まだ……」

「もー、起きてよー」

「美妃奈まだ……朝……4時だよ、、」

「ふわぁ……ぇ!?」

「ご、ごめんはるるん、楽しみすぎて」

「いいよ……zZ」

こんなことがありながらもドッタンバッタンと、お泊まり会当日開幕!

ほんとたのしみっ!


追伸

あ、もちろん髪型ははるるんにかわいいって言って貰えたよ/////




「美妃奈ちゃん!いこっか」

「うん!」

朝にはあんなことがありながらも無事に授業を終えて放課後。

うきうきした足取りで美空ちゃんの家へと向かう。

「ん?」

「どしたの?美妃奈ちゃん」

「あの、ここら辺って高級住宅街で有名なとこだよね?」

「うーん、そうなのかな?」

「そうだよ!家この辺なの?」

「うん、この辺?かな」

「うわぁ、すっごいね!!このお屋敷!日本にこんなところあったんだ!」

「お屋敷って……笑 そんな大したことないよ〜」

「え!すっごい大きいじゃん、私たちの家の10倍近くある……」

「え、そんな事ないってー」

「そんなことあるよ、誰の家だろ……」

『久留野』

え!!!!!

まさか……

「ご、ごめん……めちゃくちゃ言い出しづらかったんだけど、ここが私の家だよ」

「えええええええええ!!!!!!」

私は多分人生で1番大きい声で叫んだと思う。


「改めまして、お帰りなさいませ。お嬢様」

「ただいま、夏鈴」

「して、そちらの御方は?」

「私の友達よ。今日招待するとお父様に言っておいたはずだけれど。」

「失礼いたしました。桜 美妃奈様ですね。久留野様の執事を務めさせて頂いている小野寺 夏鈴です。気軽に夏鈴とでもお呼びください。」

げ、現実が追いついてこない……

何この豪邸、、

しかも、執事って日本に実在するんだね。

ん?今思ったんだけど……

「あの、久留野って……」

「はい、ここは久留野グループの別荘でございますね。基本的には、奥様とご主人様はこちらにはいらっしゃいませんので気兼ねなくお過ごし下さいませ。あ、このことは秘密ですよ」

パチっとウインクをされたけど……言えるわけないよ!!!

「あ、南くんにならまあいいかな。けど、扱い変えられたくないから他の人には内緒ね?」

「うん、わかったよ!」

いつかはるるんにも教えてあげよーっと!

「では、お荷物お預かり致しますね」


「おわぁ━━━!すっごい豪華!」

「そんな……笑」

螺旋階段を登った先には沢山の部屋。

1番奥の部屋に入ると、そこは美空ちゃんのイメージピッタリの部屋だった。

「可愛い部屋だね!」

「ありがと……」

「ところでここに来るまで15部屋くらいも通ってきたけど、なんの部屋なの?まさか全部美空ちゃんの部屋?」

「いや、ちがうよ。えーとね」

そこからの美空ちゃんは本当になんて言ってるのか分からない感じの内容を喋り始めた。

だって現実味が……

「1階から順に説明するね!多分覚えられないと思うから分からなかったらきいてね。」

内容を要約すると……


1階

レストラン

リビングルーム

映画館

シェフの部屋


2階

客室1〜10号室


3階

使用人の部屋

衣装ルーム


4階

美空ちゃんの部屋

露天風呂

脱衣場

プール


ってことらしい。

すごっ!!

改めて豪邸……

「こんなとこかな。明日はもう行かなくちゃだから、今から浴衣選んでいい?」

「う、うん!迷わないよう頑張ります……」


「ついたよ〜」

螺旋階段風のエスカレーターを下った後(さっきは普通の階段)ついた衣装ルーム。

さっきの夏鈴さんがドアを開けてくれる。

中に入ると……

「すっごーいっ!!」

「えへへ、喜んでくれてよかった。浴衣が最初に見えるようになってるけど、他にもあるから着たいのあったらいってね!あげるよ〜」

「いや……わるいよ、さすがに。浴衣借りられるだけでも嬉しいのにっ!」

「そっか、じゃあとりあえず浴衣から合わせよっー」

「レッツゴー!」



そこからは私のサイズを素早く測った夏鈴さんが、私と美空ちゃんの分全部ピッタリの大きさで持ってきてくれた。

次々と合わせていって……

最終的に候補に残ったのが2人とも2つずつ。

「美空ちゃんでてきて〜」

「やっぱりこっち?」

んー、どっちも可愛いからなぁ……

今美空ちゃんが着ているのは薄い青地に大きな花火の柄の浴衣。

さっきまで着ていたのは、白い生地に薄ピンクの小花柄の浴衣だ。

こっちの方が美空ちゃんっぽいけど……

「うーん、私は前の方が好きかな!美空ちゃんっぽいのは今着てるやつだけど新しいのも可愛いと思う。」

「そっか、じゃあそうしてみる!」

「やった!」

「じゃあ、次は美妃奈ちゃんのどっちか決めよ!」

「うん!」

そういう私は今空色地に果実の木の柄の浴衣を着ている。濃紺地に華やかな大輪のひまわりの浴衣に着替えてフィッティングルームからでると。

「うーん、やっぱりそっちかな」

と美空ちゃん。

「こっちの方が華やかで美妃奈ちゃんに似合ってると思う!」

「じゃあ、決定!」

「次はー、髪飾り選ぼ。」

「うん、いこいこ!」


そこからはしゃぎまくった私たち……


「はぁ、つかれたぁ……!」

「けど、おそろいの髪飾りも選べてよかった!水着も貰っちゃってよかったの?」

「うんうん、いいよーめっちゃ似合ってたし!」

「ありがとぉー」




「美空様・美妃奈様、食事の準備が整いました。」

夏鈴さんが呼んでくれる。

「あれ、そう言えば夏鈴さん以外のメイドさんって?」

「あぁ、今日は休ませたよ〜。人が多すぎると楽しめないじゃん!」

「そこまで……!ありがと」

「全然だよー、ほら、早く食べよ!うちのシェフの味は世界一なんだから!」

「ふふっ、だね!」


3階から1階まで降りると既に美味しそうな匂いが……

「今日のメニューはお嬢様方で楽しめるバイキング式になっております。遠慮なさらず沢山食べてくださいね。」

「はい!!」

そこからはもう楽しくて美味しくて!

プレートいっぱいにデザートを持ってきた美空ちゃんを見て意外と甘党なんだ!って思ったり、私がこれでもかと積んできたポテトを2人で下から食べて崩したり、最後に〆のデザートってことでチョコフォンデュをしたら分からなすぎて、イチゴがチョコに流されちゃったり。。

全部すっごく美味しかったし楽しかったー!

「美味しいねぇー、美空ちゃんっ!」



「よかった、楽しんでくれて」

「これからお風呂以外に行きたいところある?」

「うーん、特にないかなぁ?」

「おっけー!」

「夏鈴、8時までにお風呂の準備をお願いします」

「かしこまりました」

「8時?そんな早くなくてもいいよー」

「いや……だめなんだよぉ、それがっ!」

なにやらにやっと笑う美空ちゃん。

なにかあったっけ?

「女子二人でお泊まり会となれば!恋バナでしょ!」



「ふわぁ〜気持ちよかった!めちゃくちゃ絶景だったよぉ〜」

「楽しかった〜」

そういう私たちは、露天風呂からあがって恋バナの準備真っ最中!

美空ちゃんから借りたもふもふの可愛いパジャマをお揃いで着て、ベットの上に座ったら準備完了!



「じゃあ〜いくよ?」

「パチッ」

美空ちゃんが電気を薄桃色にセットする。

「うわ、すごい!盛り上がるね〜」

「えへへ、この日が楽しみでつけてもらったんだ〜!」

「じゃあ、まずは美空ちゃんから話してくー?」

「おけおけ!」


「じゃあ……海翔くんはすっごいかっこいいと思う!!」

「急だね……けどかっこいいよねー」

「うんうん!告白の仕方とかもうすっごかったんだから!こっちの方が赤面しちゃうくらい……」

「えへへ、実は隠れて見てたから知ってるよ?」

「え!先に言ってよぉ〜。あとはこの前デートとかしたんだけど、色々見終わったあとに私が欲しがってたものプレゼントしてくれたんだ!」

「えぇ!すごい、それは惚れちゃうね……」

「美空ちゃんはなんで海翔くんのこと好きになったんだっけ?」

「んーと、顔とか性格とか……全部かな!好きになったきっかけはプリント拾ったことだけど、そこからどんどん明るい性格みて大好きになったんだ!告白されるなんて夢にも思ってなかったよ!」

「あの時の美空ちゃんすっごい可愛かったもん、、もうデレデレ〜甘すぎて割り込めなかったよ。」

「えへへ、それは褒め言葉だよね……?そういう美妃奈ちゃんはなんで好きになったの?」

「んーと。私たち幼なじみって話はしたっけ?子供の頃からずっと仲良かったんだけど、恋愛感情はなかったんだよね。ただ仲のいい近所の男の子、くらいの感覚で。けど一緒にいるうちに助けてくれたことや一緒にいて楽しいなって思うことが増えて。その後すぐ私が引っ越しちゃったんだけど……どうしても忘れられなくて。恋だなって自覚したのは再開してすぐかな!」

「うわ〜、そっちだってめっちゃくちゃ仲良いじゃん!運命の出会いだね!はるるんって呼んでるんだもんねぇー‪///」

「やめてよぉ……私だけの名前だから」

「嫉妬!美妃奈ちゃんほんとに可愛いっ!」

「ほらぁ〜やめてって」

恥ずかしすぎるよ……いいもん!

布団かぶってやる!

「もふっ」

「あー、ずるいよ!美妃奈ちゃんーごめんってば」

「じー」

「ごめんなさい」

「いいよ!えへへ、次は覚悟してね?ほら、海翔くんのナンバーワンエピソード!かっこいいジャンルー」

「えー、選べない……」

「うわー、惚気だぁ!!」

「んーとね、、」

こうして文化祭前日の夜は薄桃色の明かりと空気に包まれて更けていったのでした。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

53906文字を超えて君へ。またね 空桜nyaco @hocchan02

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ