第21話

あれは……手錠の鍵!?



「これが欲しいか」



相変わらずの機械音がそう聞いて来た。



美世がすかさず「欲しい!」と、叫んだ。



覆面男は手の中で鍵を弄んでいる。



「背中に手を回されていたら、移動しにくいだろ」



そう言って男が近づいて来た。



手錠を外される……?



そう思った時だった。



同じように覆面を被った男が2人、廊下を歩いてくるのが見えた。



犯人は1人じゃないと思っていたけれど、3人いたようだ。



後から来た2人が美世の体を拘束した。



「嫌! なにするの!?」



咄嗟に抵抗を見せる美世。



けれど3対1で勝てるワケがなかった。



美世の手を拘束している手錠は一旦外されたが、胸の前でまた手錠をかけなおされてしまった。



でも、手が前にあれば立ち上がる事も簡単にできるようになる。



あたしはそれを見てゴクリと唾を飲みこんだ。



この人たちの目的はまだわからない。



でも、すぐに殺すようなことはしないみたいだ。



あたしと音も同様に体の前で手錠をはめられた。



ずっと背中に手を回していたため、動かされた事で両腕がズキズキと痛む。



馴れるまで時間がかかりそうだ。



痛みに耐えていると、男の1人があたしにスマホを差し出して来た。



なんだろう?



そう思って画面を見て見ると、拘束されたあたしが映し出された。



男があたしの腹部を踏みつける。



ハッと息を飲んであたしはスマホを握りしめた。



さっき取られた、あの動画だ。



心臓がバクバクと跳ねる。



動画を消そうとボタンをいじってみても反応がない。



それ所かトップ画面にも戻らないようになっている。



「大事にしておけよ」



男があたしの耳元でそう言ったのだった。

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