第13話 雨上がりの世界(お題「虫の羽と水滴の写真」より)

雨粒が罠を飾る

僕は身動きが取れない


視界が塞がれても

奴が近づくのが分かる


長い手が僕を抱き寄せ

すぐに噛みつかれた肩 

鋭い痛みに僕は悲鳴を上げた


奴が傷口を舐めまわし

味わいながら咀嚼する

痛い、熱い、寒い、怖い


蜘蛛は喰い残した蜻蛉の羽を

吐き捨てるように地面に落とした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る