第2話 海戦への経緯
シャルル=ロイ=ヒムヤル=サヴォアよ、汝は朕が
『カラマン皇帝バルムット一世からヒムヤル王シャルル七世への手紙』より
***
ラヴィネの海戦とは、東大陸の大帝国カラマン朝の伸張に対して、西大陸の強国ヒムヤル王国を中心とする神聖同盟と、東西大陸の間に広がる静海に覇権を持つ通商国家エリティアが連合して対抗した、両軍合計して六〇〇隻近い船に十七万人を超える人間が集まって戦われた史上有数の海戦である。
この時代、静海の覇者として君臨していたのがエリティア人である。彼らは静海西岸に発展した都市国家エリティアから進出した商人たちであった。戦争を避けて防衛に有利な干潟に浮かぶ島の上に築かれたエリティアは、しかし土地の狭小さのため、早い時代から発展の先を海に見出し、船を漕ぎ出して静海東岸に貿易拠点となる多くの植民都市を建設して東西交易の拡大に努めた。彼らは貿易における多くの競争相手を退けながら三百年近い歳月を経て、東西交易を支配する静海の覇者として繁栄の時代を迎えていた。
このエリティア人の繁栄に影を落としたのが後世にカラマン朝と呼ばれるラーマン人の帝国である。東大陸の遥か東北方の
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