第3話

俺は今助けを求めている。別に何不自由なく暮らせているのに心のどこかでは何かかが違うような気がするからだ。それも猫の手も借りたいぐらい。

このモヤモヤは将来のことを考えるのに嫌気がさしたことと他人に関わっていくのが億劫だと感じたことから来ているのかもしれない。


他にもあるのかもしれないが....


将来という未知のことを考えなければならないのは当然のことではあるのだが、なりたいものもなければ夢もない。誰もがぶち当たるであろう瞬間というのに直面しているからなのだろう。そして他人に関わっていくのにも…と疲れてきている自分がいる。

そんなことを考えているうちに心がだんだんと日々日々、暗くなっているような気がしてままならない。あーしんどぃ。


未知のことを考えるには未知の者の声が聞くのが1番よね、というわけで俺の部屋に住み着いているであろう幽霊に助けを求めてみた。

だが返事がない

奴の声が聞こえてこない。そしてこの目で見ることもできない。なんと無慈悲なことだろうか。奴とは10数年ともに暮らしている中なのに。

「はぁ」

と、部屋にため息を残し家を出ることにした。


そんな感情を抱きながら学校へ向かうバスに乗った。

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あの部屋へ越してきたのは6歳のころだった。

入った瞬間それを一瞬で感じた、しかしそれをこの目で見ることはなかった。


16歳の頃だった。

この家が幽霊物件だと初めて知った。

朝家を出る時、1階のおばさんたちの話がなにやら俺の家のことについて話していた。

「二階の幽霊は払われたのかしらね?」

「まだ住んでるってことはもういないんじゃないかしらね。」

「そうだといいんだけどねー。ほらあそこって、コロコロ入れ替わるから。」

「長い間住んでるから精神的に来てるんじゃないかしら、、」


そんな話が俺の耳に飛び込んできた。


俺の家計は霊という概念からかけ離れていかるかは分からないが、あの家に越してきて家族が不安になることはなかった。


ただ、時々俺の部屋では物が落下したりと、腑に落ちない現象があったが怖くはなかった。

あーなるほどね…ぐらいの感覚で階段を降り一回のおばさんたちに挨拶をして、足先を急がせた。

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学校が終わり、時刻は17時になっていた。そして今日も特に何かが起きるということもなく、それを良く言えば平和に終わったというべきだろうか。悪く言えば、、、やめとこう。


家路につくと、何やら人の気配がする。これは今までにないような感じだ。一回のリビングには人影のひの文字もおらず恐る恐る二階へ駆けあがった。

ドアの前に立つと何やらかすかだが物音が聞こえる。ドアノブに手を伸ばすと、頭の中で線のようなものが初めてよぎった。これは恐怖というべきか。

「泥棒か、、、」

気合でドアを開けてみると目の前には長髪で金髪の女が背をこちらに向けたまま立っていた。それも裸の姿で、、

「ふぁ!?」

思わず声が上がってしまった。


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目が覚めた。外はまだ薄暗い。何故だろう、どことなく体が軽く感じる。いままで体の奥深くにあった「もやもや」みたいなものが消え去ったかのようだ。そして、昨晩の記憶もーーーーーーー


時刻は朝5時を回ろうとしたところだった。




[完]




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朝5時 セイ。 @boutaro

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