番外編 永太の誕生日

 来たわね俺の誕生日。毎回祝ってくれたの親くらいだけどだけど。自分へのお祝いとしてケーキでも買っていくかな。…幸牙が祝ってくれればな…。はぁ…。


「永太ー」


「ん…あ、幸牙」


 幸牙が俺の元へ息を切らしながら走ってくる。何故かコンビニ袋をぶら下げて。どうしたんだろ。


「お前、今日誕生日だろ?」


「えっ、う、うん」


「ほらよ」


 俺は袋を渡される。え、これって…俺への誕生日…プレゼントってこと…?え、マジで、幸牙が俺に…?


「まぁ…その、あれだ」


 幸牙が顔を赤くして、少し目線を逸らした目を再び俺に向けて言う。


「…誕生日、おめでとう」


 俺はその場で硬直してしまった。好きな人からプレゼントを貰って、おめでとうの一言もくれて…。あ、やばい涙が…。


「…ちょ、永太?」


「ぐすっ…ご、ごめん…嬉しくってさ」


「だからって泣くこたねぇだろ…」


「泣くほど嬉しかったの!」


 何かもう、どうとでもなってくれの精神で、俺は幸牙に抱きついた。幸牙の胸で泣ける幸せ…。一生ここにいたい。…でも、涙が止まんない…。


「…永太、ちょい顔上げて」


 言われた通り顔を上に向ける。すると━━━。


「…ッ!」


 幸牙が、俺にキスをしてきた。顔を赤く染めて、瞼をぎゅっと瞑った幸牙の顔がドアップで俺の目に映し出された。


 10秒位経った後、唇が離れる。


「涙、止まった?」


「…止まった」


「良かった」


 幸牙が微笑む。そのまま、幸牙は逃げるように仕事場に戻って行ってしまった。…プレゼントの中身、何か訊いてないんだけど。いっか、ここで開けちゃえ。


 袋を開けると、中にはコンビニスイーツのケーキとマカロンが入っていた。何かコンビニで買ってくるあたり、ホント幸牙らしい。そういう所が俺は大好きだ。


 ってあれ、何だこれ…手紙?


 袋の底に、1枚の紙が入っていた。そこに書かれていた文字は…。




 ━━ハッピーバースデイ、永太。



 何時までも、お前の隣に居させてくれよな。



 幸牙より


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