第11話 お前の全てを知りたい(後編)

「それって、本当?」


「もちろん」


 蒼哉…知ってたのか?俺が記憶を失っている理由を…でも何故蒼哉が知っているんだ?


「俺、事故の後、入院してたんだよ」


「そりゃそんな傷作っちゃったらね…」


「まぁ幸い大きな怪我と言えばこの傷だけだよ。骨折とかもなし」


 俺的には蒼哉が生きてたこと自体が1番だよ…。


「んで、俺はしばらく入院している間に、けいちゃんに異変があってさ」


「…異変?」


「うん。「俺のせいで蒼哉が大怪我をした」って、けいちゃん相当精神的に病んでしまったみたい」


「マジか…」


 俺は言葉を失った。


「そして、俺も怪我がだいぶ良くなって、無事退院したんだよ。んでその後すぐ学校行って、けいちゃんのクラスに行ったんだけどさ…」


 蒼哉の声が少しづつ低くなっていく。


「…行ったんだけど?」


「けいちゃん、その時に記憶がなくなったみたいなんだ。俺の事、完全に忘れられててさ…」


「…もしかして、あまりのショックに記憶をなくしてしまった…と」


「多分、そういう事なんだと思う。」


 俺のずっと悩んでいたものがようやく解決された。


「…もしかして、今の会社に来たのは俺がこの会社にいることに気づいていたから?」


「あ、それは入社してから初めて知ったよ。けいちゃん、昔から顔の模様が変わってないからすぐ分かったよ。」


 うっ…俺は昔からあまり変わっていないのか…。


「そ、そうなんだぁ…」


「まぁでも、再会出来て良かったよ、けいちゃん。これからも宜しくね」


「こ、こちらこそ」


 俺達はぎゅっと握手をした。

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