ヘタレエンド



「えーっと……」

「はい」

「その、なんだ……」

「はい」


 期待顔で待つ後輩から目を逸らしながら、俺はボソボソと小さく呟いた。


「勉強するか」

「……は?」


 まったく感情が込められていなかった一言に、俺は猛烈に戦慄した。


「いや、だって、テストがあるし! 絶対に集中できないし! テスト後ではいけませんかねぇ?」

「この期に及んでヘタレ先輩はぁ~! せっかくお膳立てしてあげたのにぃ~!」

「テスト前に告白とかないだろ! せめてテスト後だろ!」

「それは一理ありますけど。ありますけどぉ~!」


 ムスッと膨れた後輩は、怒りや羞恥や落胆を混ぜて俺をムッツリ睨んでいる。


「よし! 決めました! テスト最終日は午前中で終わるので、先輩のお家にお邪魔します!」

「ちょっ!」

「先輩のお家は共働きでしょう? ご家族はいらっしゃらないはず! なので先輩のお家で告白してもらいます! 告白の難易度を上げてやるぅー!」

「そ、それは……!」

「い・い・で・す・ね?」

「……はい」


 難易度を地獄モードにしないでくれよ……。

 ヘタレた俺が悪いけどさぁ。

 この日をきっかけに、俺は後輩に一生頭が上がらず、尻に敷かれ続けるのだった。



<ヘタレエンド>






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これは知り合いの話なんですが・・・ ブリル・バーナード @Crohn

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