プロローグ

 ある昼のこと。

 五、六人ほどの少年たちが興味本位で山奥にある廃墟の中を探索をしていた。

 ――しかし和気あいあいと会話をするそんな彼らのムードを破るようにして、あたりにある音、、、が響きだしたのだった。


 ガチャン、ガチャン、ガチャン……。


 その音は遠すぎて何の音なのか、彼らにとってはいまいち連想しづらいものだった。

 それに加え、使われていない建物の中は閑散としていてだだっ広い。反響音がひどく、なかなか音のおおもとまでにはたどり着けそうになかった。


 ガチャン、ガチャン……。


 けれども恐怖心より好奇心か。年頃の正体不明の負けず嫌いが、どんどんと古びた建物の奥へ、奥へ、その奥へと少年たちを導く――。

 深くまでくるとさすがに暗すぎたため懐中電灯がいった、、、。しかしカバンから取り出し電源を点けても、広がりのない光がそこかしこを照らすのみだった。


 ガチャン……。


 いよいよだ――と彼らは顔を見合わせた。しかし、そこでふと気づく。少年たちの人数が減っていたのだ。どうやら彼らのほとんどは道半ばで逃げたらしい。

 残った少年は、たったの二人だった。


「このドアの向こうみたいだけど」

「いいから、とっとと開けろ」


 キィイ。

 ドアを開けて、二人の目に最初に飛びこんできたのは、乱雑に山積みになっている錆びた鉄鋼だった。そして、そこに厳重にも巻きつけてあったのは真新しい鎖、、、、、。どうやらこの鎖から音がしていたらしかった。


 そして、それらを懐中電灯の光で追っていくと、鎖によって自由を奪れている――背に白い羽根をくっつけた、一人の少女がいたのだった。

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