第一章

第一話

 ――八房やつふさは考えた。

 これは? "玉梓たまずさ"の呪詛じゅそ返しを喰らってしまった、のではないかと。

 

 アレだ、エルフっ娘。

 アレだ、貧乳っ娘。

 

 貧乳っ子は現実の世界に居たので、幻術を魅せられてるという認識は薄かった。が、エルフ娘は現実の宇宙せかいには居なかった。

 一応、エルフの起源とされている、ゲルマン神話の妖精とか精霊。または、北欧神話の自然を司る神族としてなら、見知っているのだが……。

 俺が居た宇宙せかいを考慮するなら。某有名、ハイ・ファンタジー小説に登場するエルフが主流である、スレンダーモデルタイプ。ぁー、違うな。八百万はっぴゃくまんならではのお国柄で、多種多様なエルフが居るわ――二次元で…………。

 

 でも、

 

 姉である玉梓も、俺もだが。能力の根幹は、東洋思想にある。術を行使し、幻惑を魅せたとしても基本、東洋に偏る。と断言したいが、今やグローバル社会、西洋思想の影響を受けないとは言い切れないので、エルフっ娘を魅せることも可。


 しかし、


 まぁ、珍しく姉の幻術にしては、醜怪グロテスクでは。ない、タイプである。

 夢まぼろしであったとしても、楽園パラダイスは、パラダイスなので、楽しませてもらうことにした。


「ふたりとも、カワイイねぇー」


 ポンという軽い音と機械の駆動音がほぼ同時に聞こえた瞬間に、八房の右側頭部、数センチ横を一筋の矢が飛んできた。

 続けざまに、

 火薬の破裂音が響いた瞬間に煙があがり、八房の左頭部、数センチ横を鉛の粒が飛んできた。

 

 

 ――――リアルすぎない!?

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