第23話 堕落カップル

 高架下、ケラトとルシファーは

「なぁ、ケラちゃん」

「あ?なんだよその呼び方」

「俺と、堕落しね?」


 蓮がテスタと出会ってから2日程経ち、蓮とテスタはバッティングセンターに行っていた。

 なぜこんな所に行っているのかと言うと。時は3時間前に遡る。

 蓮が部屋でゆっくりとくつろいでいると、テスタがある物を持ち出してきたのだ。

「この棍棒は何に使うんだ?」

 それは木製のバットだった。

「……それは棍棒じゃなくてバットだ」

「…バッ……ト?」

 テスタはその場で軽く振ってみた。

「危ねぇなそう言う武器じゃなくてな、これは野球で使うんだよ」

 テスタは知らない単語の連続でどんどん困惑し始めた。

「……野球……バット……」

「うーんとな……まぁとりあえず行くか」

 という訳で、2人はここにいる。

「えーとな、野球って言うスポーツがあってな、それで使う道具がバットだ。んでここはそのバットで球を打つ練習をするのがここ」

「なるほど、これで飛んでくる球を叩き落とせば良いんだな?」

「あっそうじゃ」

 テスタは蓮の話を最後まで聞かずにバッティングスペースに入り、バットを構えるが堂々と剣の様な構えをしており、このままだと確実に90キロの速球が当たる。

「おーい!テスタァ!違う違う!構えが違う!」

 テスタは横の機会にコインを入れ、再び構え始めた。

「うぉっ待て!コイン入れんなっ」

 ピッチングマシンから球が勢いよく飛び出す。

 それをテスタは素早く叩き、ありえない方向へ球は飛んで行った。

「あちゃ……」

「こうか?」

 蓮はドアを開けて言った。

「違うわぁ!」

 再び飛んできた球をテスタは斬るようにうち飛ばし、蓮の真横のドアに当たった。

「だっあっぶねぇ!」

「こうじゃ無いのか?」

 蓮は1からバッティングの型を教えこんだ。

 その途中で球が飛んできて蓮に被弾したり、テスタが被弾したが、なんやかんやで型を覚え、その後は楽しくバッティングをしていた。

 最初はどうなるかと思っていたが、段々と楽しく思えた。

 その後もテスタと共に様々な所へ行った。

 いつもの街並みなのに彼と居るとどこか違うように感じる。

 そんな中、川沿いの道を歩いていると高架下に2人の男が座っているのに気づいた。

 1人は黒いスーツを身にまとい、どこかで見たような雰囲気だった。

「ケラ……ト?」

 その名前にテスタは反応した。

「なんだと、あいつがいるのか?!」

「いやでも、さすがにあんな格好はしないよな」

 蓮が男を指さすとテスタもさすがに違うと判断した。

 すると、その男は立ち上がり、2人に近づいた。

「よぉ……」

 そのやつれた声は2人にとってどこかで聞いたような感じだった。

「……やっぱり」

「ケラト……なのか」

「そうだが」

 彼はそう言った。

「おいおい、あの品行方正なお前は何処に行ったんだよ」

「あぁ?……品行方正もクソもねぇよ」

 ケラトはバックルを出現させる。

 そしてもう一人の男は背中から黒い翼を広げた。

「ってなんだアイツ?!」

 その男は、こう名乗った。

「ああ、自己紹介遅れたね、僕はルシファー。彼とつるんでる堕天使さ」

 蓮は唐突に現れた堕天使に驚きを隠せずに居たが、ケラトに突然顔面を回し蹴りされ、そんな事を考えている場合では無かった。

「ケラト!?お前の騎士としての誇りはどこに行った!」

「そんなもん……とっくに捨てたよ……竜………装」

 ケラトは竜装し、深くため息をつくと、右手に持ったレイピアをテスタに向けて大きく振りかぶり叩き殴ろうとした。

「竜装!」

 テスタも竜装し、それを防ぐがケラトはテスタの腹を蹴り飛ばし、倒れたテスタにレイピアを連打する。

「お前……堕ち過ぎんだよ!竜装!!!」

 蓮も竜装し、テスタを助けようとするが、ルシファーが両腕で蓮を羽交い締めにする。

「2対1は卑怯じゃん?」

「あっ……このっ」

 何とかして離れようとするが、ルシファーは中々離さない。

 ケラトは更にテスタを蹴り飛ばし、テスタは川に転がり落ちた。

「テスタァ!?」

 テスタは立ち上がると、決してケラトを攻撃しようとはしなかった。

「ケラト……なぜ俺を攻撃する」

 テスタは聞いた。

「……おめぇらは良いよな……守るべきものがあってよ……俺はもう……何もかも失った。友も、信頼もな……だから、てめぇらみてえな野郎が気に食わねぇんだよ!」

 ケラトは更にテスタに攻撃する。

「ケラト……そうか」

 テスタは剣を置き、両手を広げた。

「……気が晴れるまで……やれ」

 蓮は全身を炎に包み、ルシファーから離れた。

「あっつ」

 ルシファーは体についた炎を埃を払うように取る。

「ケラトお前っ」

 蓮はケラトの胸ぐらを掴み、訴える。

「確かにお前にとっちゃ辛かったかもしんねぇけど」

「そういう同情が1番ムカつくんだよ!」

 ケラトは蓮を殴り飛ばし、レイピアを蓮に向ける。

「おめぇも良いよな……可愛い妹なんか持ちやがって」

 ケラトは蓮をテスタの方へ蹴り飛ばすと、ルシファーを自分の方へ呼んだ。

「やるか……ルシファー」

「ああ、いいよ、ケラト」

 すると、ルシファーは幽霊のように薄くなり、ケラトの身体に取り憑いた。

 すると、鎧は腐り始め、白骨化を始めた。

「……竜装鎧クラプトリケラ……」

 最終的に鎧は白骨化し、ケラトの足元に闇が産まれた。

「……そんな」

 ついにケラトは

「……お前らも、堕落するか?」

 ケラトは蓮に向けてレイピアを突き刺した。

 To Be Continued

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