第15話 PRINCEは突然やってくる!?

 マンションの屋上

 そこには、キラーが座っておにぎりを食べていた。

「いやぁ、見たかったんだよな。今まで人に裏切られたことの無いやつが、裏切られ、地に落ちていく様を」


 マンション入り口付近では、蓮が改造されたファロとガストロに苦戦を強いられていた。

 ガストロは身体中からガスを吹き出し、身体を痺れさせる。

 蓮は何とかして2人を鎮静させようとするが、人間ではありえない様な動きをする2人についていけず、ファロの蹴りを腹にもろにくらい、駐輪場の自転車にぶつかり、2、3台の自転車が使い物にならなくなった。

 そして蓮の竜装鎧の隙間から蓮の血が流れ落ちる。

「お前ら……ケラトのダチじゃねぇのかよ……」

 すると、莉はハンドガンを2人に向け発砲する。

 弾は2人の身体を撃ち抜き、血が吹き出す。

 しかし、血が出たのにも関わらず、何も無かったかのように動いている。

 それはまるで機械人形の様に。

「蓮、剣じゃ分が悪い。ここはお母さんに」

「やめろ母さん!」

 蓮は叫んだ。

「どうして?!こいつらを殺らないと被害が拡大する!」

「俺はって言ってんだ。殺したら、ケラトに申し訳な」「そんな情を入れるな!」

 莉は蓮の言葉を妨害するように言った。

 そして、怒鳴る様に。

「……母さん……んな非情な」

 その時、青い炎の斬撃が、ファロとガストロを焼き切る。

「な……」

 斬撃が放たれた方向には、竜騎士がいた。

 蓮の竜装鎧と似ているが少し異なり、青い騎士だった。

「…お前が……もう1人の王か」

 彼は蓮に聞いた。

「……おう」

 彼は蓮に近づき、耳元で囁いた。

「………くれ」

 莉は彼に銃口を向ける。

「……竜世界の王、テスタ・レックス。何故ここに……」

竜人保護管理局りゅうじんほごかんりきょくの奴か。すまないな、今はあいつの所に居なければならない」

「裏切りの王が……」

「……許せ」

 すると、ファロとガストロは上半身と下半身が今にもちぎそうなのにも関わらず立ち上がり、フラフラとテスタに襲いかかる。

 テスタは剣を構えた。

 その剣からは、青い炎が出ていた。

「………やめろ」

 蓮は弱々しい声でそう言った。

「もう1人の王よ、よく聞け、彼らはもう死んだんだ、彼らを成仏させるには、こうしか…」

 テスタは剣を振り下ろした。

 青い炎は2人を包み込んだ。

 ガストロとファロは燃え上がり、言葉にならない様な悲鳴をあげた。

「………許してくれ」

 蓮は青ざめ、テスタに言った。

「………お前……」

 テスタはマンションの入り口を見ると、そこには。


 ケラトが居た。

「……テスタ……様」

 ケラトは膝を下ろし、引き笑い、顔あげを暗い、雲におおわれた夜空を眺めた。

「……そうか、あんたも同じか……」

 ケラトは失望した。

 人間に、

 竜人に、

 友人に、

 この世界に、

 全てに。

 ケラトはそのまま高らかに笑った。

「何信じりゃいいんだよ俺……みんなクソじゃねえか……」

 蓮は竜装を解き、傷ついた身体を起き上がらせ、ケラトに近づく。

「……ケラト……ごめん」

 ケラトは蓮を見るや否や、蓮の胸ぐらを掴み、顔面を殴り飛ばす。

「……もうお前も信用ならねえ」

 蓮は地面に思い切り叩きつけられ、背中に大きな衝撃を受ける。

「……お前らしくねえよ、ケラト……」

 ケラトはそのままどこかへ去ってしまった。

「ケラト……」

 莉はハンドガンをテスタに向けるのをやめ、蓮を連れて帰ろうとした。

 しかし、テスタが蓮を抱えた。

「……お前っ!」

「……こいつは私が預る」

「間田の奴隷か、お前は」

「……違う」

 テスタは青い炎を出して莉を妨害し、青い炎が落ち着く頃には、蓮諸共消えていた。

 莉はひざまづき、涙を流した。

「………蓮、ごめんね」


 その頃、間田コーポレーション社長室では。

 間田の前に小夜と、2人の男、そして女が1人居た。

「君達には、世界の均衡を保つ為に、働いて欲しい」

 男の1人は、白衣を着て、茶髪の男で飄々とした雰囲気を出している。

 もう1人の男は散切り頭の黒髪で、服装もジャージと動きやすそうな服装をしており、目も真っ直ぐとしていて、いかにも体育会系という感じだった。

 そして女は茶髪のショートヘアで、スポーツウェアの上にノースリーブの革ジャンを着ている。

 間田はそれぞれにとある物を渡した。

 それは、ベルトのバックルだった。

「それは、ロストベルトと言ってね。腰に装着して、ここのボタンを押せば、着装できる」

 それを貰い、彼らはそれを腰に装着する。

「「「「着装」」」」

 すると、4人は光に包まれた。

 そして、光が消えるとそこには、4人の戦士が居た。

「私の計画通りだ」

 間田はそう呟いた。


 ケラトはその頃、橋の下で寝そべって寝ていた。

 すると、そこに、何かが舞い降りた。

 それは、人で、背中からは羽が生えていた。

「……天使?」

 しかし、天使とは違い、羽は闇のように黒かった。

 そう、堕天使だった。

 体格や見た目はケラトとほほ同年代に近かったが、顔つきは少し幼かった。

「ねえ、君も全てを失ったのかい?」

「誰だお前」

「僕は、ルシファー。堕天使さ」

 To Be Continued

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