天使のカラダは冷えている

石橋めい

プロローグ

 ──春は、冬と夏の間。

   秋は、夏と冬の間。

   寒い季節と暑い季節のちょうど真ん中。


   例えるならば春は、明るく鮮やかな桃色。

   例えるならば秋は、どこまでも深い赤色。


   言うなれば春は、寒さに凍えたその身を、

   硬く閉ざした瞼を、仄かに温める季節。 

   言うなれば冬は、暑さに熟れたその身を、

   輝きに溺れた瞳を、静かに冷ます季節。


   春、夏、秋、冬、四つの季節が

   環になって巡るならば、春と秋は対角線。

   決して交わらない。


   そう、これは、私と妹の話。──

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