第51話 高い高いをしてあげた

葵と友達として根掘り葉掘り組織の事について聞いてみた。もちろん拒否られた。

友達なのに。


「打算的な友達なぞ友達じゃあないだろう。つまりゆずるの事だ。」

「じゃあ打算的じゃない葵の友達の事話してよ。」


「組織の事は話さん!」

「いや、組織の事はいいから。じゃあさっきの放尿癖のあるアキラマッチョの事でもいいよ。」


「アキラマッチョは自称リーダーという名の空気読めないマンだ。」

「おっいいね、そういう葵から見た感想が聞きたいんだよ。」


「しかもただのマッチョじゃない。鉄壁のガードを誇る人の話を聞かない気まんマンなんだ。」

「いるよね〜そういう奴。人の目を気にしない奴。」


「こいつには何を言っても通じない。」

「でも僕はうらやましいよ、そんな筋肉バカでも。」


「いや、筋肉バカまでは言ってないけど。」

「言わなくてもわかるよ。みんな陰では筋肉バカって言ってるって。」


「そんな事…しっゆずる、しっ!その筋肉バカからの連絡だ。」

いや、葵言ってるじゃん。

思いっきり言ってるよ。


「ああ、わかった。こっちはいつでもOKだ。準備が整ったら連絡をくれ。」

どうやって連絡をとっているのか見る限り全然わからない。

もしかして今目の前にいる葵は本体じゃないのかな。


夢だって言ってたもんな。

じゃあいいか。

ちょっと触ってみよう。


葵の背中をさすさすしてみた。

葵の二の腕をぷにぷにしてみた。

葵のくびれをすりすりしてみた。

葵のむね…


瞬間頭を仰け反る。その真上ギリギリを刀がすり抜けた。


「あっぶねー首が飛ぶところだったよ。」

「ゆずるが思いっきりセクハラかますからだろうがよ。友達だから手加減してやったんだぞ。」


「最後の擬音だけ言わせて欲しかった。胸をもみもみで完結だったのに。」

「最低だな、単なるセクハラじゃねーか。」


「いや、昭和のスキンシップです。昭和では合法ですよ。」

「当時も合法ではなかったし、今はもう令和なんだよ!」


「まあセクハラの件はいいとして、筋肉アキラは何だって。」

「良くはないけど、アキラは筋肉という苗字でもない。」


「バカアキラは何だって?」

「もっとひどい!もう少ししたらゆずるをリーダーの前に連れていく。」


「リーダーって自称リーダーのアキラの事?」

「いや違う、作戦リーダーのミナトだ。アキラもいる。」


「ええええええいきなりおしっこかけないよね?」

「まだかけないと思うぞ。かけないんじゃないかな?」


「自信なさげ!」

「まあ俺もついていってやるから。」


「頼むぞ親友!」

「親友がセクハラするか!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おまえがゆずるか?へいぼんなかおだな。」

僕の目の前にアキラがいる。

筋肉バカが…

セリフも全部ひらがなだ。


上半身裸にサスペンダー、下は黒の皮ズボン。頭はスキンヘッドだ。世紀末に出てきそうな雑魚キャラだった。


「せっかくだからおしっこかけて…」

「早速かよ!おしっこかけんなよ!」

僕は全力でツッコんだ!

おしっこを阻止するために強めにツッコんだ!


「何でおしっこかけるんですか?」

「えーーつよいやつはよわいやつにおしっこかけるっていってた。」


「むしろ強い奴は何もしないよ。」

「だからおでおまえにおしっこかける…」


「こいつ…人の話を聞かない気まんマンだった!忘れてた。」

下げだしたズボンのチャックを慌てて手で押さえる。しかし抑えた手はビクともせず全部チャックを下げ切ってしまった。


「すんごいバカヂカラだな。忘れてた筋肉バカだって。」

「おい、本人を目の前に言うな!」

葵がツッコンでくれた。


「あっ、さっきおしっこしたばかりだからでないや、わすれてた。」

チャックを自分で下げてすぐ上げた。

助かったけれども…


「本当にコイツ異世界対策室メンバーなの、葵?」

「こいつはこいつで能力者なんだよ。」


「へーどんな能力なの?どうせ見たまんま怪力じゃない?ねえ」

「ぐっっ正解だ。常人の1.5倍〜2倍の力持ちなんだ。」


「十分すごいけど、何か意外性がないかな。もうちょっと裏切ってくれないと。料理が上手とか。」

「ゆずるは何を求めているんだ!別に俺たちだって普段の生活は常人とそんなに変わらないぞ。」


「いつまでしゃべってるんだ。」

目の前のドアが開き1人の男が入ってきた。


「ほう、こいつが異世界人達の仲間神崎ゆずるか。ふん、平凡な顔だな。」

男は入ってくるなり1人掛けのいわゆる社長椅子に腰掛けえらそうな口をきいた。

しかし、その容姿は…


「なあ葵、コイツは誰かの子供なの?こんな組織に出入りしてていいの?ボク、お母さんはどこにいるの?よしおっちゃんが高い高いしたるわ。」

小学校3年生ぐらいの男の子の両脇を抱え高い高いをしてあげる僕。

わっしょいわっしょい!

軽い軽い!

8回ぐらい上げて下に降ろしてあげた。


「異世界対策室リーダーのミナトよ。」

「なっなんだって〜〜〜〜〜〜〜〜。いや、僕が高い高いしてあげてる時無抵抗だったじゃん!なすがままだったじゃん?リーダーなのに?」


「リーダは非力な状態なのよ、今は。ね、リーダ?」

「う、うんそうだな今はな。」

「いや、リーダー高い高いすんごい笑顔でしたやん!満足そうでしたやん!」


「今は小学3年生ぐらいだからちょっと精神も引っ張られる様な時があるようなの今は。ね、リーダ?」

「う、うんそうだな今はな。」

「おでにもたかいたかいやってほしい」

「いや、アキラには無理!ってか居たの?アキラ?」


その後もごねるのでアキラにも高い高いをしてあげた。最高2回でした。

いや、だってアキラ僕より大きいんだよマッチョだから重いし…逆に僕がしてもらいたいぐらいだよ。



やってもらいました。アキラに。

たのしかったです!


ちなみに葵にやろうとしたら怒られました。セクハラだそうです。こんなに純粋な目をした僕なのに…ぐへへへ。


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最終話まで残り4話…全然終わりそうにない展開ですけど終わります。

明日は一気に15時から順に投稿します。



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