はやいをゆっくり「エッセイ」暇つぶし用

僕は中学生の頃に部活でソフトテニスをしていたんだけど、その時に不定期でコーチとして来ていた大学生位のお兄さんの言葉というか言い回しが、今でも気になる。


部活でみっちりとやり込んだので、まあテニスだったらそこそこ遊べるレベルの腕前を持っているんだけど、今回はそんな小さい自慢をしたいわけじゃない。


いやいっそ自慢と語りをしてみようかな。


県の大会でシングルス3位になりました!!わーわー。


僕は何故か部活の先生に気に入られていて、強い相手との練習試合や大き目の大会の時に奇策として大会に出させられる事が多かった。その理由に当時は気が付かなかったけど、今になって考えるとソフトテニスという球技の特殊性にあったんだと思う、競技にゴム製のボールを利用している、それ故に左利きであるというだけでボールの回転が逆になるという単純な話だ。後は変に器用な僕は左手でサーブして右手でボレーするみたいな事も出来たからかもしれない。左利きで矯正受けてると右手も使えるんだよねって話しなだけなんだけどね。


いや、ごめんショボい自慢だった。


むしろショボいから大々的に自慢した!それのが面白いまであって書いちゃったわ。恥部を全力で晒すスタイル。


まあそんな話はどうでもよくって、今回の書きたかったのは、当時テニスを教えてくれた人が、僕のサーブを見てアドバイスとして言ってくれた言葉だ。


「ちがうんだよ、はやいをゆっくりやるんだよ」


早いのにゆっくりってなんだよって思いながら、意味もわからずに言葉だけを覚えててサーブの練習を部活後も自宅の庭とかで繰り返してると、何故か段々とわかってきた。

 段階的にはサーブをする姿勢が型にはまって行くみたいに動きにブレが無くなった時点で速いに一段近づいた。サーブを打ってる体に神経を回さなくて良くなって思考に隙間が出来てゆっくりに一段近づいた。その隙間をどんどん広げようとすると無駄の無い振りは速いにまた一段近づいていく。


ラケットを振る腕は速いんだけど、考える時間はあるからゆっくりなんだよね。


これに気が付くまでに。随分と時間がかかった。けれども、あの時に言われた事ってのは、結局「ただの練習不足」って事だった。


その難解な言い回しは何だよって思う。


言葉を発したり伝えたりするには、ある種の感情ってのがあると思っている僕としては「ただの練習不足」を「はやいをゆっくりやる」に置き換える気持ちだったり心境が未だに想像出来ない。


言葉に気持ちが憑依出来ない。


所謂、解せぬ。がずっと僕の心に残っている。


中学生の鼻たれ小僧にもっと練習しなよって言えばいいだけの事をあえて言葉を選んだという、その心を知りたい。


機会があるなら僕は「純粋な疑問」として、あの時のコーチに聞きたい、一体どんな気持ちでアドバイスをしていたんですか?と。

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